学びなさい、坊や。

 話は戻って、今朝の出来事。

 バイクと自動車でほぼ同時に家を出ると、すり抜けが出来るぶんバイクのほうが早く着く。そんなわけで、両親とほぼ同時に家を出た私が先に職場に着いたのですが、ガレージの真正面に工事用の足場を大量に載せたトラックが停まっていて中に入れない。しかも、どうも足場をガレージを通して隣のビルのところまで運んでいるらしい。

 遡ること数日前、確かに隣のビルで塗装工事をする、という話は聞いていた。私が待機している元住居の裏に当たるビルのことなので、足場を間近に組むこと、作業中しばらくは騒音があることなどを説明に来た人があったのだ。直接に話を聞いたのは父だったが、ちょうどそのとき近くにいたので私も詳細は知っている。

 だが、出入り口の真ん前にトラックを停めること、ガレージを通して足場を運び込むこと、ましてや人の家の庭に資材を置くことなどまったく聞いていない。とりあえずどやしつけて入口は開けさせたが、しかしずらした場所はふだん両親の車を駐めてあるところ。遅れてやって来た父も当然怒る。

 問題があるのは現場の人たちではなく説明に来た男である。問題のビルで作業を見守っていたとかですぐに現れた男は、問題のビルの脇からこちらの元住居とのあいだに足場を運び込むことが出来ないのでこちらから搬入させて貰った、と説明する。その事情は解る、がなら何故説明に来たときにそれを言わなかったか。

 職場の環境は特殊で、ガレージは職場の敷地内になるが父の弟ふたりの家と共有している格好になっており、資材を置いてしまった場所は末の叔父の家と元住居との中間、いわば庭に当たる箇所。つまり裏のビルとは関係がなく、話を通すなら末の叔父、更にガレージを通ることを考えればすぐ下の叔父にもしなければならない。まして場所を利用するのだから予めきちんと相談があって然るべきだろう。

 ここで止めていても埒があかないので現場の人たちには作業をしてもらったが、そのあいだに父は塗装工の会社に直接連絡したり、昼頃項垂れた表情で再訪した男に説教したり。元もとその会社は一般的な住宅を扱っているとかでビルは初めての仕事、それで配慮が及ばなかったと言い訳するが、しかし最初に挨拶に来たときに問題点に気づかなかったはずはないのだから(事実、朝、こちらが出勤するより前に手際よく搬入を始めていたのだから、段取りは考えてあったはずだ)言い訳にすらなっていない。

 とりあえず後日もういちどきちんとした説明と、誠意のある対応をしてもらうということで話は纏まったようだが、去り際に男は半ば泣き声で「いい勉強になりました」と言っていた。……そういう勉強は現場に来る前にしておこうよ。

 余談。そんなわけでいま、私が待機している真横で足場を組んでいるわけですが、そのあまりの騒々しさに我が家の猫はすっかり怯えきってしまい、コタツに入れても正座している有様。足場を組む作業はもう一日かかるとのことなので、明日は家に置いていこう、という結論になりましたとさ。寝不足だったのか帰ってからは人の布団の上で丸くなったまんま。

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