『FESTA!! HYPER GIRLS POP』プレイ日記第6回

 隠しシナリオ『千神』も終了、まだCG閲覧モードに空きがありますが、正直そこまで徹底したい程の出来ではないので、これにて攻略も終了とします。

 ここで初めてキャラクターデザインに関する、とある工夫があったことにも気づきましたが、これもあまり効果を成していない。驚きを演出したいのなら寧ろこの工夫は邪魔であり、別のデザインを用意するのが正解。

 隠しシナリオとして用意するほどなのですから、相当に気合いの入ったものを持ってきているのか、と期待していたのに、拍子抜けするほどあっさりと終了。わざわざ三度もタイトル画面に戻してシナリオ選択をやり直させる意図も解りません。様式だと言いたいならもっとシナリオが緻密でないと駄目です。まるでドリフのコントのような展開にするのではなく、プレイヤーの心を削り取っていくような鬼気迫る描写があってこそあのくだりは説得力を備える。だいいちあの話運びじゃただのギャグです。コントとすら言えない。

 そもそもこういう話廻しにしたいなら、尚更本編が魅力的でなければまずかった。少なくとも、あの本編の千神奈々子シナリオの決着からこの話に結びつけたところで悲壮感も何もない。ただの自業自得なのですから、主人公側がどれほど苦労しても共感を呼び起こすことは出来ませんし、また奈々子の真摯さも浮ついたものになる。

 そうして、ようやく念願の瞬間が訪れるわけですが――これにしたところで、肝心の隠しシナリオの盛り上がりが乏しすぎるためにどうも感慨が乏しい。さすがにスタッフのほうには感じるところがあって、他のキャラクターよりも厚みはありますが、ドラマとしての練り込みが浅いので「だから?」としか思わない。登場人物の盛り上がりにこちらが溶けこめない。折角の場面であるのに、原画の仕上がりが雑であることも心証を悪化させます。

 何より、これほど引っ張ったのに、エピローグはおろかエンディングも用意していない。本編では、もう今更繰り返し見たくない、というときにもプレイヤーにスキップを許さないようなシステムにしておきながら、最も感動に浸れて然るべき場面でそれを用意しないというのはいったいどういう了見なのか。

 すべてが悪い方向へと期待を裏切っている。三作引っ張った奈々子商法の結末がこれでは呆れ果ててものも言えません。引っ張るのは構わないが、これだけユーザーを翻弄したのなら珠玉のシナリオで挑んでください。

 そして、本編の最大の問題点を最後に指摘しておく。――この作品、題名のもとである“祭”がほとんど活かされていない。肝心のくだりで展開がほとんど同じなので、印象的でも何でもなくなってしまっている。だいいち、題名がこうならば、隠しシナリオでももっと明確に“祭”を謳わなければ話が閉じない。本編でも随所に配慮不足が認められましたが、隠しシナリオはその最たるもの。カタルシスを齎すべきクライマックスで逆に不快感だけを催させるという、最低の出来になっている。

 もう少し幅を持たせて欲しかった厭味はあるもののキャラクターは悪くないし、境界線で二分された町、という着想は巧い。部分的には目を惹く描写や発想もある。しかしライターそれぞれの漕ぐ力と、ディレクターの舵取りが致命的に雑だったため、暗礁に乗り上げたままの状態で放り出されてしまった、という趣です。……何のことはない、旧二作で私が指摘した問題点をずーっと引きずったまま、最悪のところまで落ちこんでしまったのが本編だった、というわけ。それじゃ失望も深まるはずだ。

 システム的にも美点よりも欠点が増えたことはこれまでのプレイ日記でも説明した通り。評価できるところは評価したいのは山々なのですが、それを思い出すことさえ困難というのが実際です。流れについて考慮せず、スティック各個のテキストを、頭を空っぽにして読めばそれなりに楽しめるかも知れませんが、通して遊ぶのはしんどいだけの作品でした。はっきりと、駄作だと思います――私がこんなことを書くのは最近極めて珍しいのですけれど、心を鬼にして言わざるを得ません。

 途中で挿入し損なってしまいましたが、システム面でもうひとつ注文をつけておきます。

 メッセージスキップ等で、飛ばせる演出と飛ばせない演出とが混ざっているのが解りません。特に恋水絡みのイベントで、動物の絵を妙に長々と見せる場面がありますが、二度目以降は非常に鬱陶しいのに、何故か飛ばせないのは不思議です。それから、最も間の抜けた演出であるタライについてはオン・オフが選択できるようにして欲しかった。もしかしたらスタッフは自信があったのかも知れませんが、冒頭から何よりも失笑を買い、ゲームを続ける上で邪魔に感じられたのは、このタライでした。

 音声入りのシナリオについてはもう修正不能でしょうが、システムについては今からでもパッチ等で対応することを考えていただきたいところ。そうでもなければ、時間が経ってから再度遊ぶ、という選択肢すらなくなるでしょうから。

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