『地獄少女』第十三話 煉獄少女

 1クールなら耐えられたけど2クールはどうだろう、もういい加減見限ろうかしら、と悩みつつけっきょく見始めてしまいましたよ第十三話。ふたたびつぐみが幻視した映像を頼りに、柴田は地獄少女の足跡を辿る……

 従来のように復讐依頼と遂行を描くのではなく、“地獄少女”の過去の行動を探るという話運び。喋る鳥に関するお遊びもあって、いつもと違う雰囲気はそれなりに見応えがありました。

 しかし相変わらず細部は雑。昭和二十五年に編集長をしていた人なら八十前後になっていてもおかしくないのに異様に矍鑠としているのもおかしいし、原稿について話を聞きに行ったらどうして真横から簡単に元原稿が見つかるのか。先に事情を話していたので、気を遣って探してくれたとしても、個人が出版社に所属していた頃の原稿を保管しているのも妙。思い入れがあるなら打診された時点で柴田が訊ねたかった事情は察しているはずで、改めて雑誌を見せてもらう必要などあるまいに。

 加えて、インターネット不在の頃に地獄通信に接触する手段が微妙。実のところ、地獄少女がどうして事前調査を行う場合があるのか、についてようやく説明らしい説明が行われているので、その点で意義はあるのですが、でもその見せ方はないだろ。

 ただ今回の話は、シリーズ当初から想定されて然るべきだったある場面を描いていることと、シリーズ屈指のヴィジュアルを終盤に用意したことで、突出した存在感を放っているように思います。これで普通の場面での作画が安定していればもっと良かったんだけどねえ。前回同様、このシリーズではかなり観られる話ですが、やっぱりそこ止まりなのでありました。

コメント

  1. 冬野 より:

    カストリ雑誌の編集部をいまあるような出版社と一緒にするのは、ちょっと違うかと思いますよ。あれは家内制手工業、アパートの一室でやっているのもザラですから。しかも、儲けではなく理念と趣味で作っていたケースもあるため、編集長が思い出の品として家に残していても不思議ではないですね。原稿は編集長のものみたいな時代ですし。また、カストリなら20歳そこそこで編集長もざらなので、現在は70歳そこそこじゃないかなと。ただ、真横から簡単に元原稿が見つかるのはご愛敬ですね。

  2. tuckf より:

    いや、そのへんは想定していたのですが、それでもあんなに簡単に見つかることと、本人の持つ雰囲気と最初の応対とがちぐはぐ、という印象がどーしても拭えなかったのです。そんなに思い入れがあるなら、柴田が用向きを打ち明けた段階で、どういう受け答えをするか準備を進めるなり作家の所在を確認するなりしていてもいいと思うのです。そうすりゃあのあとの妙なナレーションも省けましたし。
    それに、気になっていま録画を見直しましたが、作中描かれている当時の編集部の風景はかなり立派で、雑誌の内容はともかく、出版社としてもある程度の大きさがあるように見えます。やっぱり、ここで受け取った原稿を個人が譲り受けているのも変ですし、それを敢えて譲り受けていたとしたら、柴田に対する受け答えも奇妙です。
    ――ま、どっちにしても、トータルで雑だ、という評価は変わらない気はするんですが。

  3. 冬野 より:

    あの当時、あんなに小ぎれいな編集部がカストリ作るかよってのがあるんで、むしろツッコミどころは編集部の背景絵ですよ。カストリを知らないから、ああいう明治か昭和の立派な出版社を書いてしまったのが間違いという真相でしょうか。
    ちなみに、トータルで雑というのは間違いないんですが、カストリ雑誌の人は変人が多くて賢いのにバカみたいなところあるんで、ああいう訳わからん受け答えされても実は不思議じゃなかったり。もちろん、作家と編集者の関係もかなり奇妙なもので家族のような他人のような、かなり複雑怪奇な世界です、カストリ系は。しかし、そんなカストリの奇妙な世界がちゃんと描けてないのは、やっぱり脚本と演出がマズイとも言えるところでしょうね。

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