『まんが日本昔ばなし』第十二回

  • 『節分の鬼』

 妻にも子供にも先立たれ、はたからは耄碌したと早合点され村人からも相手にされなくなったじいさん。墓参りの帰り、あちこちで見かけた節分の光景に、ひとりで豆まきをしようとした老人だが、悲しさのあまり「鬼は内、福は外」とあべこべに唱えて豆を撒いた。すると、なんと他所から追い出されてきた鬼が一斉にじいさんの家に集まってきたのだった……

 実際、よく言われることですが、“鬼”を安易に災厄を齎すものとして放逐する豆まきの儀式は決して正しいものとは言い切れません。追い出された鬼たちが何処で何をしているのか、そう考えたら、こんな“幸福”もあり得るでしょう。いや、儀式としてこういう人物を喜ばせるために、やはり「鬼は外」と言うべきか? なんにしても、序盤の悲痛な描写と後半の快さの対照が素晴らしい話です。

  • 『猫檀家』

 年を食って居眠りばかりしている、寂れた山寺の通称“居眠り和尚”。ある日、長年連れ添った猫が化け猫となり、世話になった恩返しがしたい、と言い出した。一緒にいてくれればいい、という和尚だが、猫は強引に恩返しをはじめてしまう……

 解りやすい報恩譚ですが、しかし定石通りでありながら、ちょっと皮肉な味わいを残した結末が可笑しい。実はこの猫、ひとりでゆっくり寝たかっただけじゃないのか。

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