『夢使い』第八話 思い出は消えて

 夫婦喧嘩の絶えない家に育った少女・若葉は、自分のために両親が別れられないという罪悪感から悪夢に囚われてしまう。卵状の殻に閉じこもった若葉は、思い出を過去へと辿りながら、次第に小さくなっていく……。若葉の幼馴染み・健太郎とともに、燐子は悪夢の源を捜して、記憶のなかを彷徨する。

 このシリーズ、ほとんど原作には頼らずにやりきる意向のようです。“夢使い”という世界観をベースに描きうるテーマを一話完結で片付けている。それぞれ満足のいく出来かと聞かれると首を傾げますが、その心意気や良し。だからあれこれ文句を言いつつも、切るということが思い浮かばなかった模様。

 今回もアイディアの扱いや終盤の処理に疑問がありますが、主題は“夢使い”という設定をちゃんと活かしている。ここに来てとうとう戦闘シーンをすっきり省略してしまいましたが、それもまたひとつの方法です。ただ――ゲストキャラや事件そのものがちゃんと描かれていると、その反動で塔子や燐子の出番が激減してしまうのが悩みどころ。いまのシリーズ展開では、案の定というか、橘一や三時花の出番などもう完璧に無くなってます。

 DVDの巻数から推測すると、残すところあと四話というところでしょうか。シリーズにちゃんとケジメをつけたいなら、そろそろ塔子が世捨て人となった事情や、三時花の消えた恋人に触れなければいけない頃だと思うのですが……どうするつもりなのやら。

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