『まんが日本昔ばなし』第二十九回

  • 馬方とタヌキ

 酒好きの馬方は仕事の帰り、子供達にいじめられているタヌキを助けた。律儀なタヌキは恩返しに訪れる。最初こそ困惑した馬方だが、甲斐甲斐しい世話ぶりに感激するのだった。そこへ、馬方が借金をした相手が取立にやってきて……

 お約束通りの話かと思いきや、意外にもあっさりとした結末に吃驚。タヌキが人語を解し変化できる、という定石を踏まえてはいますが、話運びは現実的で、タヌキの心遣いと馬方の優しい人柄とが沁みるいい内容になってます。

 まだ世界が出来たばかりの頃、山間に暮らす野菜の神様がいた。神様は散歩の途中、新しい野菜を作ることを思いついて、にんじんとごぼうとだいこんを創造した。それぞれに華やかな色を付けてあげたのだが……

 前回の『クラゲの骨なし』と同様の縁起物。この3つが同じところをきっかけにそれぞれの色に変わった、という思いつきだけの話ですが、それが語り継がれているあたりが微笑ましい。

 まるで子供の落書きのような、しかし絵画の心得のないものには決して描けない作画が出色の1話。それを見せたいがために、ラストショットでは意味もなく神様の立ち去る姿を延々追う、という無駄で悠長な作りに和みます。

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