『天保異聞 妖奇士』説十四 胡蝶舞

 アトルが禿となって身を潜めている吉原界隈がきな臭くなっている。遊女が奇怪な死を遂げ、その創傷の様子から解剖の知識のある河鍋狂斎に疑いの目が向けられるが……

 また新しい流れが出て来て更に混乱を深めてます。前回で多少整頓が出来たと思ったのに、また方向性が見えなくなってますよ。テーマは面白いのに、視線が変わるごとに焦点が暈けるのがこのシリーズの悪い癖です。

 新しい妖夷の出没の仕方は着眼ですし、アトルを巡る意外な展開も目を惹くんですけど、どーも全体が混乱しすぎていていま一歩乗りきれない。酸いも甘いも噛み分ける大人達に混じって染まりきれない宰蔵の反応がいちいち楽しいのですが、個人的に見所はそのくらい。鳥居耀蔵一派の暗躍にしても、奇士との対立軸が曖昧なのでどーも関心を惹かないままですし。

 相変わらず作画のクオリティは安定しているし、暗い時代の世相をうまく考証に織りこんだ設定は好みなので見続けていますが……しかしいい加減焦点が欲しいところです。

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