『天保異聞 妖奇士』説二十四 後南朝幻想

 絶望から、アトルは遂に自ら妖夷を作りだしてしまった。雲七とともに説得に赴いた竜導だったが、空に開いた異界の気配に混乱させられる。代わりに、猛るアトルとその妖夷を沈黙させたのは、“西の者”と呼ばれる水干姿の男達であった。天孫の系譜を自称する男達は、あろうことか妖夷を自らの意のままに操りはじめる……

 完結間近に案の定の妖怪大作戦に発展。妖夷というものに秘めた幾重の趣向が急速に明かされていき、密度は高いとも言えますが、駆け足過ぎて色々な感情やキャラクターの本質が置き去りにされてはいないでしょうか。アトルを巡る展開はちょっと唐突で、しかもああもいいように利用されたことに彼女が何も示せない状況は気の毒すぎる。江戸元閥の翻心はもっと丹念に描くべきでしょうし、竜導の最終形態の出し方も唐突でした。意図は解るし迫力は感じるのですが、さすがに何もかも中途半端に過ぎる。

 いったいどうやって締めくくるのか、と思っていると、次回予告……“幕間”? 『ビデオオリジナルストーリー制作決定』? おいおいおい!

コメント

  1. 冬野 より:

    武装錬金でそれならみんな喜ぶけど、妖奇士でそれはないですよね(;´Д`)

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