『モノノ怪』 座敷童子 前編

 雨の晩、宿に助けを求めて現れたのは、唐人と思しき金髪と白い肌の女。何者かに追われ、しかも身重で体力も衰えた女は、泊めてくれなければ軒先で骸になる、と訴える。苦慮した女将は、階上の普段は客を泊めない部屋に導く……

 あああもうオープニングから痺れっぱなし。異様な空気を醸成しつつ、美男の薬屋を前に年甲斐もなく顔を赤らめる女将の様子などで軽い笑いを誘ってみる。そして本編に突入すると、正統派の怪談風演出で異様な気配を更に強め、童子に凝りまくった映像表現で煙にも巻いてみせる。特に「ぐる・ぐる・ぐる」は素晴らしかった。当人たちはとことん本気、そして不穏でありながら、しかし表現としては滑稽という凄まじい技を繰り出してます。

 惜しむらくは、今のところ宿に居ついていると思しい座敷童子の因果についての伏線が示されていない気配が強いことですが、いやもう、その程度はこの圧倒的な外連味の前では大したことではありません。この夏は退屈せずに済みそうだー。

 ……そういや、当初は『怪』でこれの第一章たる『化猫』だけはDVDを購入しておこうと思っていたのに、当時は手許不如意だったために見送ってしまったのでした。そろそろ買おうかなあ……しかし、このシリーズ完結後にそれも合わせて統一デザインで発売されそうでちょっと怖い。

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