新耳袋トークライブ57

 前回から2ヶ月ぶり、なんですが多忙すぎてあっという間でした。

 ほぼ正式に木原浩勝氏の相方として認定された西浦和也氏が体調不良で欠席したため、このところレギュラー化していた某グラビアアイドルが実質的に木原氏の相方を務める形となりました。彼女の怪談使いとしての能力はさんざん痛感させられていたので、不安を感じていなかったのですが……実質ふたり芝居という構成が災いしました。今回は酷かった。

 西浦氏の仕込みで半ば恒例と化していた絵馬シリーズはこの某嬢に加えて観客からの持ち込みで奇跡的に継続しましたが、そのあとは軽く、“いわゆる心霊写真”ネタが掴みに登場。これが話込みでなかなか優秀な代物だったので、どんどん濃くなることが期待されたのですが……最初の休憩を挟んだあと、何かの時間繋ぎに木原氏が何気なく某嬢の普段の仕事について話を振ったあたりから、最悪の脱線が始まりました。

 この娘、地理がとことん駄目らしい。仕事で訪れた場所なら大雑把に場所は把握できても、大まかな位置関係でさえ記憶が怪しい。「日本から太平洋は見えない」「九州が大阪の下にある(=四国は本土の左側)」「そもそも東西南北が怪しい」等々の恐るべき事実が次々と暴露されて、どうやっても怪談に戻れない。いい加減観客もあきれかえったところでどうにか怪談に戻ったものの、別の意味で繰り広げられた“あなたの知らない世界”の衝撃は大きかった。二度目の休憩時間中、試しに記憶を頼りに書かせた世界地図は凄惨な代物で、ここでも更に時間を浪費。面白いと言えば面白かったのですが、こっちは怪談を聞きに来ているのでさすがに苛立ちました。何だかんだ言いながら話を引っ張り続けた木原氏もさすがに拙い。

 とは言え、いざ怪談に戻ったあとの底力は相変わらずでした。たまに木原氏が拾ってくる、無人の空間で聴こえてくるひと言、という類のネタに呼応して、更に凄まじい話を引っぱり出してみたり、ものすごい経歴を持つ係累の方の体験談は定石を辿りながらもインパクトは強烈。そのうえ、木原氏が最後に目出度い話を持ち出すつもりでいたら、まるで知っていたかのように結婚にまつわる凄惨なエピソードを提示してくる。怪談となるとこれだけ優れたアヴェレージを叩き出すのに、どーしてあそこまで常識が欠如しているのか不思議で仕方ありません。

 某嬢の世界認識の話がもの凄すぎて、他の話の印象が曖昧になってしまうわ、某嬢も木原氏自身も貯めてきたネタをまるで出し切れなかったような不完全燃焼の1回になってしまいました。お陰で年末に開催される次の回はあんまり不安がなさそうな情勢にはなったものの、今後は某嬢を如何にコントロールするかが課題となりそうな気配。やっぱり木原氏の相方は西浦氏が務めたほうがいいです。

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