『篤姫』第一回 天命の子

 薩摩藩・島津分家のひとつ、今和泉島津家忠剛の家が、新たな娘を授かった。一なる姫君の謂いで“於一”と名付けられたその娘は、のちに江戸徳川家十三代将軍のもとに嫁ぎ、幕末の動乱を女性の立場から見届けることとなる。だが、生地での於一は、薩摩藩改革のなかで貧窮する財政に一家が苦しむ中にあり、虚弱な家族を支えて力強く育っていた……

 本編に入る以前に、これまでになく観づらいオープニングが気になりました。背景眩しすぎ。目を凝らさないとテロップが読めませんよー。

 大河ドラマは比較的方言の考証をしっかりしている、というイメージがあったんですが、本編は薩摩を舞台にしながらわりあいオーソドックスな時代劇の言葉にまとめられている。なまじ原作を読んで、あとあと方言や地元特有の習慣が意味を為してくることを知っていると、この調子で大丈夫なんだろうか、という不安を覚えます。

 しかしそれ以前に、どーしてこんなに四六時中音楽を鳴らし続けるのでしょう。ナレーションで説明しすぎる脚本も不満なのですが、どうも演出そのものも安易で終始引っ掛かりっぱなしでした。忠剛や女中・菊本の年齢や雰囲気も原作とかなり違うし。

 ただまあ、そういうのは一般向けの時代劇としては常道なので、文句を言っても仕方のないことではあります。今のところ、原作にはない於一=のちの篤姫幼年時代の武勇談を盛り込み、既にのちの活躍を窺わせる一面を添えている点は悪くない。幼い頃の於一を演じている少女がちゃんと宮恕Wあおいに似ているのも好感触です。長じては、原作で描かれているよりも小柄で体格的には押しに欠ける宮恕W篤姫を、男装して寺子屋に潜りこませる、といった趣向によって男勝りの力強さを見せているのも方法として正しい。そういう形で若手屈指の演技派・宮恕Wあおいの実力が存分に活かされているのもいい。

 放送前に製作者たちが「家族ドラマとして描く」という話をしていたのに一抹の不安を覚えたものですが、とりあえずこの薩摩での語り口には合っている印象です。問題は島津本家から近衛家と繰り返される養子縁組を用いたモラトリアムをどう描き、家風の軋轢が続く大奥での有様をどう描くかよね。

 ……ともあれ、今のところ駄目を出すような成り行きでもないので、大人しく鑑賞を継続しましょう。解ってるんだよ、堀北真希が当分登場しないことぐらいはさ。作中時間でまだたぶん十歳にも満たないのよ。

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