『猟奇的な彼女』9回戦

 凜子は、父の借金を肩代わりしてもらうために、祖父江との結婚を決意した。三朗は苦しみながらも、彼女の決断を受け入れ、祝福する。周囲の人々も心を揺らす中、着々と準備は進んでいき……

 もうどれほど婚約者を善人に描いたところで、この流れが作品の主題にとって最悪であることは疑いようがないので、見ていても乗れませんでした。どうも設定がコメディ的なのに、やっていることが感動路線なのが不自然で気持ち悪い。特に、研究室には本来繋がりのない凜子の結婚話を研究室で祝う、という流れがまるで理解できません。全員そこまで親しくないだろ? 凜子自身の友人の気配がないのはなんでだ? っていうか彼女、仕事は何をしてるんだ?

 他のドラマなら多少は感動的になる中盤のシーンも、何せ凜子の意志の強さをきちんと描かず、けっきょく周囲に押し流されてしまう女のように描いてしまっているせいで、苛立ちを覚えます。こういうことがやりたいなら他の、オリジナルのテーマでやりなさいよ。

 そしてクライマックスの見せ場にしたところで、三朗の人柄の良さを示したかったのでしょうけれど、よくよく考えると嫌がらせのようにも受け取れる。そのあとの展開があるお陰で虚飾がうまい具合に剥がれフォローは出来ていますし、まあオリジナルのことを考えなければグッと来るのは否定できないのですけど、でもやっぱり『猟奇的な彼女』とは言い難い。終盤の行動で彼女らしかったのは、あれを返すやり方ぐらいだったもんなあ。

 で挙句に、唯一評価していた、あの人の早い退場をご破算にする最後の成り行き。本当にあちゃー、という気分です。もうどう頑張ってもコメディに戻りようがなくなったじゃないかっ!!

 もともとそんなに巧くないと思っていた脚本家ですが、このシリーズを観ているうちにやっぱり駄目なんだなー、と改めて実感。膨らますことは出来なくても、せめてオリジナルの良さを活かすぐらいの工夫はせえよ。もうまるで関係ないやん。

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