『猟奇的な彼女』最終戦

 凜子がアフリカに行ってから1年後、約束の場所に彼女は現れなかった。三朗は、タイムカプセルに封じておいた婚約指輪を海に放り捨てる。南は無事に回復し、研究所の仲間たちの状況も激変していくなか、三朗ひとりだけが新しい生き方を探しあぐねていた。が、そんなある日、駅でホームから転落しそうになった彼を、か細い腕が抱えて助けてくれる。その人物は……どう見ても、凜子だったのだが、彼女は彼を知らないと言い張るのだった……

 序盤、凜子初めての著書が積み上げられ、彼女がサイン会をしていた書店がジュンク堂池袋店でした。あんまりその階でサイン会やってないよなー、とか三朗そこは1階の集合レジだから買うならそのまんまエスカレーター降りなきゃ駄目なんだよ、とかどうでもいいツッコミが一気に頭の中に浮かんでいきました。

 前回終盤の危惧とは裏腹に、序盤は初めてまともなコメディとして成立していました。ただ、このやたらと偶然の蓄積する話の流れは正直食傷します。そして最後の乱暴な展開。もう笑うより呆れ果てました。ある意味初めて『猟奇的な彼女』らしい流れにはなっているのですが、しかし最初から何度も言っている通り、そういうのはキャラクターをきちんと構築して、コメディとしての土台を固めなきゃ成立しないんですってば。なまじ乱暴すぎて展開が読めるんですから、それこそコメディとしての雰囲気を確立していなければ観ていて苛立つだけなのです。どれほどいい台詞を積み重ねても駄目。

 ……いや、今回だけなら決して出来は悪くないんですよ。少し前と、第1話の出来事を踏まえたラストシーンはなかなかでしたし。しかし、もうその前にいくつも失点を重ねているので、もはや挽回できなくなっている。

 本質的に中心となるキャラクターの個性こそが鍵になっていた作品を、安易に恋愛物連続ドラマの方程式に収めようとしたのが間違いだった気がします。メイン二人の配役は絶妙だっただけに、どうしようもなく勿体ない代物でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました