新耳袋トークライブ62

 落語会のあと、映画に間に合わなかったので、さっさと新宿に移動しファストフードで書き物をしながら時間を潰して、会場へ。そうでなくとも蒸し暑いのに、強引な移動をしたために汗みずくでしたが、手の施しようがないのでそのまんま。ちなみに今回も私ひとりでした――よりによってコミケのど真ん中に入れてくるから……。

 夏なので冒頭は宣伝が多めでしたが、しかしそのあとはさっそく、このあいだ発売された映像版『怪談新耳袋殴り込み!』の主要スタッフである映画秘宝の面々が登壇、DVDには収録できなかった映像、及びあとで発見された不可解な音声を編集した映像が披露されました。映画秘宝の面々の“凶状”を前からここで見せられている常連にとって、例のDVDはむしろちょっと大人しいな、という印象があったのですが、やっぱり入れられないところでこんなことまでやっていたか、と解り妙に安心するレポートでした。どうも、最低でもあと1本は撮る気満々のようで。

 いちど休憩を挟んだあとは、もはや完璧に欠かせぬメンバーとなった某グラビアアイドル*1とともに怪談メインの進行へ。『新耳袋』のときでさえ、書籍を刊行したあと、夏の終盤のトークライブではネタ不足になることが頻繁で、特にこの夏は木原浩勝氏があちこちのイベントに引っ張り出されることが増え、取材の時間が割けずに尺が余るのでは、という危惧を抱いていたようですが、とりあえずふたコマ目については、冒頭でなかなか味わい深い心霊写真が1枚あり、その後某嬢幼少期の思いの外秀逸なネタと、木原氏がつい前日に仕入れたばかりだという、強烈な大ネタが披露されたことで充分に埋まりました。木原氏自身も仰言ってましたが、氏の大ネタは幾つかのガジェットが、怪談の定番をなぞりながら珍しい顛末を辿っており、極めて貴重な内容です。

 そして3コマ目。すっかり某嬢に頼り切りになりつつも、某嬢がネタの多さ故に、思い出しても会場で話し忘れていたネタを引きずり出す、というやり方を中心にした結果、けっこう保ってしまいました。しかしこの人はほんとーにネタの宝庫です。前コマでは幼少時の記憶を蘇らせた話ばかりだったのに、今度は思春期からほんの1年くらい前の強烈なエピソードが出て来た。思春期のころのエピソードも、怪談にありがちなある要素が意外な膨らみ方をしていて興味深いのですが、最近の話はモチーフの特異さが出色。もっと怖くできたのに、細部を咄嗟に思い出せず木原氏にあとでフォローされたりしたために正直不格好な状態となってしまいましたが、改めてこの人は凄い、と実感させてくれる話でした。整頓された状態で、もういちど発表してくれると嬉しい。

 最後に、木原氏がやはり最近仕入れてきたという、映画秘宝の新たな冒険ネタになりそうな話が披露され、思わぬ発展が仄めかされたところで終了。結果としては充分なくらい話の詰まった一夜となりました――が、この最後のネタ、提示された情報をもとに、先ほど何となくインターネットで調べてみたところ、実はだいぶ前から噂になっていた話らしい。木原氏が披露した話そのものは、一般に流布しているものとパターンが異なっているため、そこに若干の信憑性があるのですが、しかしこれは様々な点を考慮すると、軽率に手出ししていい内容ではなさそうです。たぶん今ごろ、パソコンを使わない木原氏のもとにも、参加者や周囲の方から情報が集まって、その辺実感しているころだと思いますが。

 新シリーズが刊行されたので久々に木原氏にサインを頂戴したあと、電車にて帰宅。いつもなら一眠りして、気持ち悪かったらシャワーを浴びるのですが、もう耐え難かったのですぐに躰を洗い、着替えもしてから眠りました――怪談を聴いたあと、頭を洗っているとき背筋に感じる視線よりも、汗のべたべたした感触のほうが遥かに厭だった、というわけで。次に参加するときは着替えも持っていくべきか、と一瞬思いましたが、次はもう秋の開催だったりする。

*1:もう伏せておく意味もないんですが、それでも念のためにここでは敢えて名を秘す。

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