『ゴルゴ13』Target.29 配役(キャスティング)

 ハリウッドで密かに、前代未聞の企画が実行された。本物の暗殺者に依頼をし、その犯行の一部始終をカメラに収める。スタッフにはその計画を伏せ別の台本を渡し、最後に主演俳優が“ハプニング”で本当に殺害される、という想定で撮影を行い、センセーションを巻き起こそうというのである。そこで白羽の矢を立てられたのが、ゴルゴ13であった……

 考えつきそうで意外となかったユニークな発想に支えられた1話。それだけでも見所は多いのですが、今回は全体に絵の質が良かった。ゴルゴそのものの顔がちょっと不自然な印象がありますが、半ドキュメンタリー仕立ての映画、という趣向ゆえか、脇役の絵が終始安定していました。その代わり、望遠カメラで撮る車の動きとかが不自然でしたけど、まあそのくらいは些細なこと。

 30分の尺としては込み入った筋書きで、なかなか見応えはあったのですが、ただ引っ掛かったのは、ゴルゴならもっと早い段階で依頼の背後にある嘘が見抜けるのでは、という疑問が拭えないこと。明確な手懸かりを示したかったのかも知れませんが、本当にあそこまで気づかないものか。出来ればそこまで気を遣って欲しかった――というのは贅沢すぎるかも。アイディアのユニークさに短い尺で魅せるシナリオ、作画も安定していて、かなり見応えがありました。初期からこのレベルなら何も文句は――って、初期にこのアイディアを使うわけにもいきませんけど。

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