解っていても避けられない。

 世間的には夏休み初日。西新井近辺は住宅街で、休みともなると人の集まりが非常にいい。そしてこの日に合わせて、子供や家族向けの映画が一気に封切られる。……混雑する条件ばかりが揃っている。でも今日観に行きたい、そして帰りに行きつけの蕎麦屋を訪れたい。どーしても抗うことの出来ない欲求に屈して(そんな大層なものでもないが)、バイクにてお出かけ。

 夏休み向けなのか、お目当ての作品は9時15分スタート、他にも数本が同じ時間帯に第1回の上映があるという、普段は考えられない時間割。だというのに場内は既にかなりの人出で、チケット購入だけでも10分近くかかる。飲物を買うために並んでみたら、予告篇はすっかり終わり、本篇の開始ギリギリに入場する羽目になりました。いつもはプログラムを先に購入するのを、そちらだけ後回しにしたのは正解でした。

 作品は、真保裕一がプロットの段階から企画に参加、ほぼ全篇をイタリアで撮影した、織田裕二主演による渾身のサスペンスアマルフィ 女神の報酬』(東宝・配給)。目につくのがガキどもお子さんばかりだったので、あんなに混雑しているのにここがスカスカだったら哀しいな、とちょっと懸念してましたが、さすがにけっこう入ってました。……しかし、どうしてスクリーンがこないだ観た『ローマの休日』と一緒なんだろーな。わざとか?

 本職のミステリ作家が関わっているだけあって、謎解きの出来は申し分ない。景勝地、名所旧跡をやたら出してくる映画にはしばしば「どうしてここを舞台にする必要があったのか?」という疑問符がつくことがありますが、本篇の場合はそんなことはない。なかなか先が読めず幾度もヒネリを加えてくるストーリー展開、派手ではないし少し善意を信じすぎているきらいはありますがきっちりと纏めた結末といい、最近日本映画ではあまりお目にかかれなかった、サスペンスの秀作です。

 観終わってスクリーンを出ると、ホールは朝方に輪をかけた大混雑。いつもはそんなに待たされることのない売店でも、列に並ぶ必要があるほどでした――子供向け映画が多くかかっていて、グッズが多いから。さすがにここまで酷い状況は今日からの三連休と、8月末ぐらいだけでしょうが、夏休み中はなるべく早めに着くようにするか、もーちょっとお子様の少ない劇場を選ぼうっと。

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