半月も劇場で映画を観てないせいで眩暈がします。

 ……なんて言い訳しても信じてくれないでしょうが、眩暈はともかく本気でストレスが溜まってきました。特に先週土曜日、本当なら1本観ておくつもりだったのに、すっ飛ばして帰ってきてしまったので、尚更落ち着かなかったのです。本日は楽しみにしていた作品が1本封切られるということもあって、前回観られなかった作品も込みでハシゴしてきました。前のようなことがないように、ちゃんと水曜日の時点で座席指定券は押さえてあります。

 いつもより早めに仮眠をとって14時半ぐらいにバイクにて出発、訪れたのは、何だかんだで比率的には去年よりも通い詰めている気がするTOHOシネマズ西新井。ちなみに前回来たのは違う劇場でした。

 まず1本目は、誰もが知る名探偵の代名詞を、ガイ・リッチー監督、ロバート・ダウニーJr.主演にて、ひと味違ったタッチで実写映画化したシャーロック・ホームズ』(Warner Bros.・配給)

 映画道楽にどっぷりと嵌るきっかけのひとつがガイ・リッチー監督の『スナッチ』だったもので、ここしばらくの不振を悲しんでいたところ、遂にこれまでを上回るヒットを放ち(『アバター』の極大ヒットの陰に隠れて目立ってませんでしたが)、評判もまあまあ良かったようなので、楽しみにしていました……が、正直あの頃の閃くようなセンスはやっぱり感じられず。言ってみれば日本の明智小五郎がのちに少年探偵たちのリーダーとして冒険の舵取りをしていたのに似たアレンジなので、ストーリーの方向性やホームズ&ワトソンの人物描写はこれでOKだと思うのですが、如何せんシナリオの整理が緩くてテンポがもうひとつ良くない。続篇への含みは持たせていますが、片付けられるところはすべて片付けており、娯楽映画として決しての要素は取り揃えているんですが、個人的にはもうひとつ。いや、それでも『リボルバー』あたりと較べればよほど復活してますけど。

 あいだ10分という理想的な間隔をおいて鑑賞した本日2本目は、これこそ本当は先週土曜日に観るつもりだった目下最大の話題作、イラクにおける爆発物処理班の姿を緊張感充分に描いて本年度アカデミー賞最多6冠に輝いたハート・ロッカー』(Broadmedia Studios・配給)

 こちらはもうなるほど、高評価の頷ける完成度。基本は爆発物と向き合い、その時々の極限状況を描いているのですが、シチュエーションの幅に加え、人物像を掘り下げるエピソードが絶妙で、正気と狂気が激しく交錯し合う最前線の空気がビリビリと伝わってくる。アカデミー賞では音響関連を制覇してましたが、それもまた宜なるかな、上空を飛び去る戦闘機の爆音や遠い銃声、砂漠ならではの強風の音など、臨場感が驚異的です。締め括りはある意味で身も蓋もなく、実は最初に示したエピグラフがすべて、という内容なのですが、あとになってその短い文章がずしんとのしかかってくるのが見事。このところノンストップで作業をしているせいでかなーり疲れていたうえ、ちょっと不満の残る出来だった『シャーロック・ホームズ』のために少し眠気を催していたにも拘わらず、劇場を出るときにはすっかり目が醒めてました。

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