第23回東京国際映画祭アジアの風部門作品『妖術』監督によるQ&Aつき上映。

 先週末より開催されている東京国際映画祭、今年はちけっとぴあなどでの先行発売の時期に乗り遅れてしまい、半ば諦めていたのですが、ある方から指定券引換券を頂戴したので、それで観られるものを1本ぐらい拾って来よう、と出かけてきました。この引換券、前にも貰った経験があるのですが、あまり使ったことがなかったのは、当日朝、開場直後から劇場窓口で引換、という条件が私には少々きつかったのです。夜に上映される作品のチケットを、朝わざわざ訪れて確保し、いったん他所に行ってから再訪、という手順を踏むのはどーにもめんどくさいし、かといって上映時間前では満席になっている可能性があり、リスクが大きい。今日は11時20分からの作品に狙いを定めつつ、万一到着後に満席になってしまっても、今年は午前十時の映画祭のみ通常通り上映を行っているので、そっちを鑑賞すればいい、と考えたのです。

 台風の影響による雨が止む可能性は低そうなので、移動は電車。到着してみると、列はそこそこ伸びていましたが、満席のアナウンスが出ているのはカズオ・イシグロ原作によるドラマ『わたしを離さないで』だけ。意外と簡単に、目当ての作品の座席が確保出来ました。近くの喫茶店で少しだけ作業を進めたあと、劇場に戻る。

 鑑賞したのは、韓国版ドラマ『花より男子』に出演する女優ク・ヘソンの長篇初監督作品、音楽学校に通う3人の男女の奇妙な関係を、音楽をふんだんに用い幻想的なタッチで描いた『妖術』(日本配給未定)

 率直に言うと、あまりにイメージが先行しすぎて話が読み取りづらいし、不自然な部分も多い。でも、随所に盛り込まれた演奏シーンはあまりに魅力的ですし、距離感をうまく活かした映像には心惹かれます。色々と問題はある、と思いつつも、私はかなり好きな作品。

 上映後は、ク・ヘソン監督を招いてのQ&A。これまでに色々なイベントで映画監督を目の当たりにする機会がありましたが、間違いなくいちばん可憐な監督でした。もう今日のうちに韓国に戻らねばならない、というタイトなスケジュールのなか、観客からの質問に応える姿もなんか健気。

 質疑応答の内容をざっくりと要約すると、本篇はかなり監督の好きな要素を詰めこみ、韓国らしい美しさを盛り込んだ幻想的な恋愛譚として作りたかったようです。作品の魅力となっている音楽は無論、重要なモチーフである詩などにもこだわりが窺える。今後は女優としても活動を続けながら、ファンタジー的な作品を監督してみたいとのこと。

 なお、監督は11/9が誕生日だそうで、折角時期も近いから、と一部のファンの方がお祝いのサプライズを用意していました。質問者として指されなければ成立せず、道理で手を挙げているときやけに自己主張が激しかった。プレゼントを携えた女性のファンそれぞれをハグする監督の姿が実に微笑ましいひと幕でした。

 イベント終了後は脇目もふらずに帰宅――DVDの返却期限を考慮すると、今日中にあと1本鑑賞しないといけないので、夕方までに脳味噌の再起動*1をする必要があったのです。その気になればチケットを確保するのはそんなに難しくなさそうなので、もう1本ぐらい観たかったところではありますが。

*1:要するに仮眠。

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