“三本指の男”ふたたび。[本格ミステリ作家クラブ10周年記念企画『美女と探偵』(2)]

 連日の映画館通いです――しかし今月は仕方ない。そうでなくても週替わりの企画上映でいっぱいいっぱいになっているなか、週替わりプラス作品の上映時間が日によってまちまち、というこの『美女と探偵』がある以上、行こうと思ったら意地で出かけないと後悔することになる。

 今日は梅雨時とは思えぬ好天のため、自転車にてお出かけ。上映開始より1時間ほど早めに現地入りして、近くの喫茶店にて書き物をして時間を潰す――というより、あの震災でエアコンのリモコンが行方不明になったまま未だに出て来ない私の部屋で作業しているより、外にいたほうが涼しいし雑念も少なくて済むので捗るからあえて早めに出た、という事情もあったりする。

 出来るだけ若い整理番号を確保したい、という意図もありましたが、初日は朝一番で赴いて11番だったのに、今日は午後4時ちょっと前の時点で9番。開場時間に訪れても、客の入りはキャパの1/3ぐらいでしょうか。まあ、平日の午後5時という微妙な時間の上映ですから、こんなものかも知れません。

 ともあれ2度目の『美女と探偵』で鑑賞したのは、どーいうわけか最初に観た『三本指の男』と同じ原作をもとにした『本陣殺人事件』(ATG配給)。まあ、そもそも『三本指の男』はトークイベントが主な目当てでしたし、ラインナップを眺めた時点から中尾彬版の金田一は気になっていたので、どーしようもなかったのですけれど。

 ……が、しかし、これは続けて観る価値がありました。はっきり言って『三本指の男』とはまったく別物、そして時代背景や金田一の服装以外、ほとんど完璧と言っていい映画化でした。トリックも伏線も実に的確に描いているし、表現もぴったりと嵌っている。中尾彬による金田一も、服装こそジーンズ姿ですが、醸しだす雰囲気はむしろ原作をきちんとなぞっている。直後に市川崑監督による、よりオリジナルに近い金田一像が確立されてしまったせいで顧みられなくなってしまったのか、フィルムの状態がかなり悪いのが惜しまれますが、これは横溝ファンなら必見だと思います。

 鑑賞後は三省堂書店で探しものをしたりしたあと帰宅。……探しものは見つかりませんでした。んっとに、竹書房文庫はどーしてこうも見つけにくいのか。

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