客層も年齢層もちょっと違う。[本格ミステリ作家クラブ10周年記念企画『美女と探偵』(5)]

 6月の週末恒例イベント『美女と探偵』トークイベント付上映、今週に限り日曜日の開催です。土曜日が本格ミステリ作家クラブの授賞式だった、という都合が大きいのでしょう。昼間は八重洲ブックセンターにて複数の作家が集まってのイベントも催されていたようで、夕方に現地入りしてみると、神保町なのに八重洲ブックセンターの紙袋を提げた人の姿がちらほら目につくのが、土地鑑のある者にはちょっとシュール。そして、前回までは年季の入った観客、それも男性が多かったのに、今回は明らかに年齢層が若返り、女性の比率も高くなってました。やっぱりゲストの作風が影響しているのか。

 イベント前の上映作品は、笹沢左保原作によるちょっとエロティックなサスペンス『「空白の起点」より 女は復讐する』(松竹配給)。これまでにこのイベントで鑑賞した作品の中でも『三本指の男』以上にフィルムの脱落が激しかったのですが、それでも解るほど整ったプロットと、いわゆる“サスペンス・ドラマ”の定番的要素がほとんど1つの抜けもなく揃っている点に注目。本当にこの企画、いいのを発掘してます。

 トークイベントは、実質的な司会として毎回参加の芦辺拓氏に、本格ミステリ作家クラブ発足当時からのメンバーである有栖川有栖北村薫両氏が登壇。

 前回前々回も充分に濃い話が続きましたが、3人になると更に濃い。まずは上映作品についての話からでしたが、原作『空白の起点』はもともと『孤愁の起点』であった*1ものの「解りにくい」という声から変更されたもので、しかし無理矢理すぎるため映画のラストで台詞として組み込まれたときも妙な印象だった、とかトリックの改変についても言及がありました。このあたりはさすがに笹沢作品のファンであり有栖川氏と博覧強記の北村氏の組み合わせが効いてます。

 他にも笹沢左保という作家の凄さであったり、実は北村氏が個人的にも訪れていたというこの『美女と探偵』企画の面白さであったり、とか実に色々な話が出て来ましたが、例によって整理している時間がないので省略。あ、安楽椅子探偵シリーズはメンバーの都合がつけば今でもやる気はあるんだそうです。

 なお、今日の訪問で、神保町シアターのポイントが5つ貯まり、次は無料で鑑賞できることになりました――観たいのは色々あるんですが、今週は連日雨の予報が出ているうえに、急遽試写会の予定まで入ってしまったので、次のトークイベントまで活用の機会はないかも。本当に、話を聞いていると観たい作品いっぱいあるのになー……。

*1:字は違っているかも。

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