『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』

『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』

原題:“The Hangover Part II” / 監督:トッド・フィリップス / 脚本:クレイグ・メイジン、スコット・アームストロング、トッド・フィリップス / 製作:トッド・フィリップス、ダン・ゴールドバーグ / 製作総指揮:トーマス・タル、スコット・パドニック、クリス・ベンダー、J・C・スピンク / 撮影監督:ローレンス・シャー / プロダクション・デザイナー:ビル・ブルゼスキー / 編集:デブラ・ニール=フィッシャー、マイク・セイル / 音楽:クリストフ・ベック / 出演:ブラッドリー・クーパーエド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキスケン・チョン、ジェフリー・タンバー、ジャスティン・バーサポール・ジアマッティジェイミー・チャン、メイソン・リー、マイク・タイソン、サーシャ・パレス、ジリアン・ヴィグマン、ニルット・シリジャンヤー、ヤスミン・リー、ニック・カサヴェテス / グリーン・ハット・フィルムズ製作 / 配給:Warner Bros.

2011年アメリカ作品 / 上映時間:1時間42分 / 日本語字幕:アンゼたかし / R-18+(限定公開、他の劇場はR-15+)

2011年7月1日日本公開

公式サイト : http://hangover-japan.jp/

TOHOシネマズ六本木ヒルズにて初見(2011/07/10)



[粗筋]

 あのラスヴェガスでの醜態から2年。ステュ(エド・ヘルムズ)がとうとう結婚に漕ぎつけた相手は、タイを祖国に持つアジアン・ビューティ、ローレン(ジェイミー・チャン)だった。

 結婚式は彼女の祖国で行われることになったが、そこで困ったのがアラン(ザック・ガリフィアナキス)の扱いである。その後友情を結んだとはいえ、この男がトラブル・メーカーであることに変わりはなく、当初ステュは招待客のリストから外していた。しかし、アランにとっての義兄フィル(ブラッドリー・クーパー)から相当に拗ねていることを知らされ、やむなく招待する。

 そして、一同ははるばるタイへと渡った。ローレンの父は風采の上がらないステュに嫌悪感を抱き、親族に披露するディナーの席でもステュに悪態をつくなど波乱含みだったが、そのあと、ビーチで焚き火を囲んで、前回大騒動を起こしたフィル、アランに、災難に遭ったダグ(ジャスティン・バーサ)、そしてローレンの聡明な弟テディ(メイソン・リー)を含む面々とともに独身最後のパーティを催し、和やかに式を迎える

 はず、だった。

 最初に目醒めたのはフィルだった。フィルはうらぶれたホテルの一室の床に横たわっており、傍らの2段ベッドから転落してきたアランは、髭を残し頭を丸刈りにした風体で眠っていた。浴槽に丸まっていたステュは左目の周囲にタトゥーが入っており、更にはどこからやって来たのか猿までいる。

 だが、最大の問題は、テディが見当たらないことだ。アイスペールの中に、指輪をつけた薬指だけを残して、姿を消していたのである。

 前回行方不明になったダグは焚き火を囲んでの乾杯のあとすぐにホテルに戻っていて無事だったが、そこにテディの姿はない。そして、今度も3人の記憶は皆無。

 果たして今度はいったい何をしでかしたのか。そもそもテディは生きているのか――手懸かりは、ホテルにもうひとり残された男が握っていた――

[感想]

 前作『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』が、レーティングを施されたコメディ映画としては史上最高のヒットを遂げたのは、その設定を活用した笑いの要素がふんだんにちりばめられていたことも当然奏功しているが、何より物語の構成がしっかりしていた点が認められた、ということが大きいように感じられる。

 3人全員が二日酔いで記憶喪失状態、自分が何をしでかしたのかも解らない中で、乏しい手懸かりを辿って花婿の行方を捜す。少しずつ昨晩の醜態が判明していくが、肝心の新郎の行方はなかなか掴めない。しかし、思いがけないところに残されていた手懸かりによって、どうにか発見に至る。伏線は笑いを生み出すことにも奉仕しているが、失われた数時間、何より新郎失踪を巡る優れた謎解きの物語にもなっている点が、大きな魅力だった。

 その完成度の高さゆえに、下品なジョークが無数に盛り込まれているにも拘わらずゴールデン・グローブ賞のコメディ・ミュージカル部門作品賞を獲得するという快挙まで成し遂げてしまっただけに、続篇を制作する、という話を聞くと、嬉しさよりも却って不安を覚えた、という映画好きは多いはずだ。よほどしっかりした製作者が手懸けない限り、こうした続篇は単にタイトルやキャラクターを引き継いだだけの陳腐な代物になりかねない。最近でこそ比較的成功した例も見受けられるようになったが、未だに「作らない方が良かった」という声を聞くことは珍しくない。

 だが、本篇を観て、“前作に劣る”と感じる人はそんなには多くないはずだ。むしろ、いい意味で“期待通り”の仕上がりに、胸を躍らせるに違いない。

 一目で“わざとやっている”というのが解るほどに、本篇の展開は見事に前作を踏襲している。微妙に波乱含みの結婚式直前の様子から、一見和やかだったバチェラー・パーティが、シーンが切り替わると途端に最悪の一夜に変貌する。仲間たちの無惨な姿に謎の痕跡、更には結婚を迎える上で大事な人物が行方をくらましている――細かな固有名詞を取り替えるだけで、そのまま前作序盤の粗筋として通用してしまいそうなほどにそのままだ。

 無論、何もかもがそのままではないのだが、その変化が前作を意識しているのが巧い。前作未見の方のために詳しくは触れないが、テディがいない、ということに気づいたとき、まず探しに行くのが、前作を彷彿とさせる場所だ。当然思いつくこうしたところを押さえているかと思えば、前作で強い印象を残したキャラクターが意想外の場所から現れたり、細かなひねりで前作から続けて鑑賞した人々の気持ちを擽ってくる。本篇だけでも問題なく愉しめるはずだが、こういうファンサービスをきっちり施してくるあたり、作り手がツボを弁えていることを窺わせて快い。

 そして、ミステリ的趣向の完成度の高さもまた健在だ。前作では終盤まで引っ張り続けた花婿失踪の謎が、序盤から示されていた手懸かりを紡いでいくことで解き明かされる様が鮮烈だったが、本篇のテディ失踪の謎解きもまた、推理小説やこういう仕掛けものの映画を多数観てきた私が唸らされるほどにうまく考えられている。一見、陸続と積み重なるトラブルのひとつとして、笑いを取るために組み込んだように感じられた出来事が、実は謎解きのヒントになっている、という、それさえも前作と同様の趣向が、そうと解っていても簡単には見抜けない(しかし目端の利く人であれば早いうちに看破することも可能な)ように盛り込まれているのには、ただただ脱帽する。

 それでいて、クライマックスでは意外にも胸の熱くなる展開が待ち受けているのも見事だ。ようやく式場に辿り着いたステュが、バチェラー・パーティ直前までの鬱憤を晴らすかのようにまくし立てる演説には、迂闊にも感動してしまう人だってあるに違いない。そしてエンドロールにおいて狂乱の一夜を収めた写真を披露し、残されていた謎もある程度明かしてくれる配慮がまた憎い。

 大ヒット作の続篇だけに、変な気負いに押し潰されて脱線したり、安易に流れて印象の乏しい作品に仕上がってしまうことも多いなか、良さをまったく崩すことなく、基本は“期待通り”、しかしだからこそ期待を上回るクオリティにまで仕上げた、文句なしに完璧な続篇である。コメディとしても、シチュエーション・ドラマとしても非常にまとまっているため、単品でも面白いはずだが、やはりその真価を堪能するためには、出来れば前作を鑑賞したうえで本篇に臨んでいただきたいように思う――前作を観た時点で“合わない”と感じたなら、逆にそれ以上無駄な時間を費やすこともないはずだし。

関連作品:

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