レンタルDVD鑑賞日記その300。

 返却期限間際になってよーやく鑑賞。本年度アカデミー賞で脚本部門の候補にもなっていた、リーマンショックをモデルにした金融サスペンス。大規模リストラのどさくさに判明した、大規模な損失の可能性。深夜に集まった重役たちが下した結論とは……。

 サスペンス……とは言うものの、早いうちに下敷きとなっている事件の察しがつくので、だいたい何が起こるのかは解る。ポイントは、関係者が口にするあまりに大きな取引額や収入と、それが一夜で事実上消え去る異様さ、そしてリストラによって解雇され、結果的に破滅に立ち会わずに済んだ人々と、生き残りに安堵した直後に地獄を見る人々の対比です。マネーゲームに身を投じているのだから当然、という虚無的な見方だけで割り切ることは出来ない不条理さが沁みます。ことの大きさのわりに狭い範囲で物語が成立してしまう、軽さと壮大さのギャップも印象的。それを、ケヴィン・スペイシーをはじめとする存在感のある俳優たちの演技が裏書きしている。如何せん、キャラクターが優れているわけでも、サスペンスとしてひねりがあるわけでもないので、脚本賞を逃したのもむべなるかな、という気はしますが、しかしそれでも味わい深い作品です。日本では劇場公開がなかったのは残念ですが、まあDVDであってもリリースされただけよしとしよう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました