色んな形で繋げてみたハシゴ、『ムカデ人間2』ヒット記念トークイベント含む。

 先週新耳袋ライブのついでに鑑賞するつもりでいたものの、本日のイベントの存在を知って予定を変更しています。そこまでしといて観に来ないわけにはいかない。しかし、お目当ては最終回上映のイベントであるため、出来るならハシゴをしたい。当初、休憩時間を挟んで総計4本の無茶なスケジュールまで組んでみましたが、朝から迷い、結果として思いがけない事情もあって、夕方から2本立てにすることに。

 というわけで先週に続いての新宿、訪れたのは約8ヶ月ぶりの新宿武蔵野館。少し早めに現地入りし、目当ての作品2本のチケットを確保して、買い物したりして時間を潰してからいよいよ本題へ。

 1本目は、『ニュー香港ノワール・フェス』と題して一挙公開されている3作品のうち、ツイ・ハークリンゴ・ラムジョニー・トーの3人の監督が30分ずつ、順番にストーリーを組み立てていく、という一風変わったリレー形式で撮った強奪のトライアングル』(PHANTOM FILM配給)ジョニー・トー監督が携わっているからこそ観たかった、というのもありますが、このリレー形式にも興味があって、この3作の中では絶対に押さえたかった1本なのです。

 作り方が作り方ですから、見事な統一感、決着の強烈なインパクト、といったものはないのですが、映画好きとしてはとっても興味深い。ある程度各監督の作品に馴染んでいると、何処でバトンタッチしたのか明白だったり、それでいて先読み不能でもちゃんとオチは付いているのに感心します。プログラムを読むと、各監督のスタイルに委ねつつも、1本の映画として成立させるためにルールをきちんと決めているのがいいのでしょう。ノワールとしての面白さもありますが、これは映画という表現を愉しんでいる人にこそお薦めしたい。

 観終わったあと、いったん劇場を出て、近くのラーメン屋で昼食。特に情報を調べたりせず、店構えやメニューで惹かれたところに入ってみたのですが、けっこう好みで満足……しらみつぶしに食べ歩くほどではないけど好き、という程度のラーメン好きは、あちこちに店があると却って入りづらいものなのです。

 そして2本目が、わざわざ先週から予定を振り替えた作品です。各国で上映中止が相次ぎ、日本でもギリギリまで公開が危ぶまれていた、伝説の変態ホラーの続篇ムカデ人間2』(Transformer配給)

 1作目は、題材こそマニアックながら、全体の構成は正統派のホラーと言っていいものでした。続篇もそう来るのかと思いきや――かなり振り切れてました。正直、私が覚悟していたほどグロではなかったんですが、前作で物足りない、と思った部分ぜんぶ押さえている。ほぼ全篇モノトーンにしたことや、ろくに台詞がないことも含め、映画として企みに満ちた作りなのですが、変態度は増している。見事な続篇であります。これがレイトショーとしては記録的なヒットになっているのも宜なるかな――というか、日本は捨てたものじゃないと思う。

 上映後のトークイベントに登壇したのは、シリーズのファンであるという演出家の河原雅彦氏と、なんと第1作でムカデ人間の先頭にされた日本人ヤクザを好演、作品に大いに貢献した俳優・北村昭博氏。あの作品が誕生する現場にじかに関わったかたの話が聞けるのですから、どーしても今日鑑賞したかったのです。

 しかし、さすがのふたりもこの続篇には相当度胆を抜かれていた模様。上映前にサンプルを鑑賞していた河原氏も、実はホラーが苦手だという北村氏も、これで何を話せばいいんだ、と困惑していたそうですが、いざ蓋を開けてみれば、まあ話が出る出る。あまりに盛り沢山すぎてメモを取るだけでもひと苦労でした。

 たぶんどこかのメディアでもっと詳細なレポートが出ているはずですのでここでは省きますが、個人的に興味深かったのは、実は北村氏が参加する前に、日本人役として50代の、日本では知られた俳優が決まっていた、ということ。テストの段階で四つん這いになってみたところ、腰を傷めてしまい降板、そこで急遽抜擢されたのが北村氏だったとか。結果的にはそれでよかった気はするのですが、秘密主義のトム・シックス監督が打ち明けないというその前任者が誰だったのか、非常に気になります。

 噂通り、トム・シックス監督は第3作の構想も立てているそうで、北村氏には「アメリカで撮影する」「政治的な内容になる」「今度は500人繋げる!」とか無茶苦茶なことを並べ立てつつ、詳細については依然伏せているようですが……今回の出来映えからすると、私みたいに少々感覚の麻痺しかかった人間でも慄然とするものが出て来そうで、すごく愉しみ。

 イベントのあとは、北村氏のサイン会。ちゃんと用意されていた前作のパンフレットを購入し、サインしていただきました。もう大満足。

 ……ちなみに、今日の『ムカデ人間2』が今年劇場で鑑賞した延べ108本目の作品になるのですが、奇しくも前作も、昨年108本目の鑑賞作品でした……ぜんぜん狙ってなかったんですが。

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