フラストレーション大爆発。

 次が控えているとはいえ、10月後半からこっちの精力を傾けた作業が完了、1日呆然としたお陰で気力も恢復し、本日は懐も暖まった。しかも本日は、前々から観たかった作品の封切り日でもある。これで私が映画を観に行かないはずがない。そして、1本で済むはずがない。

 午前中に宿題をいっこ仕上げて、早めに昼食と仮眠を取り、14時を過ぎた頃に自宅を出発。本日の行き先はTOHOシネマズ西新井です。観たい作品が、ジャンルを跨いで多数あるときは、自宅からの距離的にもここがいちばん利用しやすい。何より、今回はほぼ完璧に近いスケジュールが組めてしまったので、ちょっと無茶がしてみたくなったのです。

 まずは本日封切り作品から鑑賞……というより今日の無茶を思いついたきっかけは、この目当ての作品の朝一番の上映が吹替で、私にとって訪れやすい時間帯でスケジュールを探っていたらこういうことになってしまったんですが。スティーヴン・キングの小説をもとに、孤独な少女の悲劇を緊張と恐怖に彩って描き出したホラー映画の傑作を、『ボーイズ・ドント・クライ』のキンバリー・ピアース監督がクロエ・グレース・モレッツを主演に招いてリメイクしたキャリー』(Sony Pictures Entertainment配給)

 あの原作の基本構造が、時代を移してもまったく説得力を損なわない、ということを証明した、いい仕上がり。デ・パルマ版のシシー・スペイセクと比べるとヒロインが可愛すぎる気がするんですが、そこはさすが若き天才、いい匙加減で野暮ったさを体現してます。何より、過程の確かさが構築するクライマックスの衝撃はやっぱり逸品。ちょっとやりすぎかな、という部分はあれど、ほぼ文句なし。

 次の作品は、スケジュール上ではまったく空き時間なし。大急ぎでスクリーンを移動――荷物を置いて用を足しに出て、しかし無事に本篇には間に合いました。2本目は、この時期恒例の劇場版プリキュア最新作、ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!? 未来につなぐ希望のドレス』(東映配給)

 実は私、テレビシリーズの方は、最近あんまり評価出来ないんですけど、これは結構よかった。特に中盤、記憶の世界でのマナを描いているくだりまではトップクラスに上出来だと思います――が、中盤以降にあちこち無茶が見えるのが残念。この最新シリーズが私にとってしっくり来なくなったのはキュアエースの出し方がいちばんの原因なんですが、劇場版でも似たようなことをしてるのがなー。折角のシリアスな雰囲気が、あそこだけギャグになってるやん。でも全体としては安定したクオリティ。

 3本目の前に、1階で軽くお食事……前にハシゴをしたときにいちど後悔したのに、今回も空き時間1時間程度にしてしまったせいで、結構慌てて食べなければいけなかったのはちょっと痛い微妙に物足りませんでした。フードコートがあるのだから、もー少し迷う時間も考慮しないとねえ。

 まあ、とりあえずお腹を満たして劇場に戻り、鑑賞した3本目は――実は当初、スケジュールに加えるつもりはなかった作品だったりする。アイスランド出身の監督がデンゼル・ワシントンとマーク・ウォルバーグを主演に招き、潜入捜査のはずが複数の思惑に翻弄され、思わぬ災難に見舞われまくる、ちょこっとコメディタッチのアクション2ガンズ』(Sony Pictures Entertainment配給)

 チェックはしていたけれど積極的に観るつもりはなかった本篇ですが、これが望外の収穫でした。面白い。ほんとにそんなにこんがらがるか、と首を傾げるくらいに様々な思惑が入り乱れ、先の展開がまったく予想できない。まあやりすぎて最後には人間関係ぐらい察しがついてしまうんですが、それでも予断を許さない緊張感と、それをほどよく和らげる主演ふたりの快い軽さが絶品。さすがにそろそろ疲れの出て来た3本目でこれが来たのはいい刺激でした。

 そして今度も、スケジュール上は空き時間ゼロ。奇しくも『ドキドキ!プリキュア』と同じスクリーンだったので、わざわざ同じ席を取っていたりする……荷物を置いたままにさせてくれると楽だったんですけど、あいだに別の作品かかってたりするしね。ともあれ4本目、本日の締めに持ってきたのは、『トランスポーター』シリーズのルイ・レテリエ監督が豪華キャストを招き、マジシャン・グループが仕掛ける未曾有の犯罪劇を描いた幻惑的なサスペンスグランド・イリュージョン』(KADOKAWA配給)

 ルイ・レテリエ監督の作品は前々から評価しているので、これも愉しみにしていたんですが……色々と惜しい。細かな要素がいちいち私好みで、もうずーっとときめきっぱなしだったのに、肝心のまとめ方がどうもよくない。早いうちに背景の3/4くらいは見抜けたのは別に構わない、ただ、その本当の目的の果たし方が安易だったのが特に残念。あそここそ、もっと周到に工夫すべきだったんじゃなかろうか。トリックの描き方、扱い方について、ズルい、と感じるひともいるはずで、必ずしもお薦めしづらいのも勿体ない――とはいえ、本篇の題材は一部のミステリ愛好家にとっては大変魅惑的ですし、それをスリリングに、かつスタイリッシュに見せる手管はやっぱりルイ・レテリエ監督らしくお見事。

 今日観た4作品のなかで、どれかひとつだけひとにお薦めするなら、と言われたら、私はたぶん、当初は候補に入れていなかった『2ガンズ』を挙げますが、それでもすべて基本的には不満はない。溜まりに溜まったフラストレーションの発散には充分貢献してくれました。

 ……しかし、今朝やっと1本宿題を片付けたのに、その日のうちに4本追加してしまうのも我ながらどーかと。お陰で久々に宿題がふた桁に達してしまったわ。

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