土曜日の悔いを晴らしに。

 予め診察の予約を入れてあった今日は、このあいだの不調についても相談する必要がありましたから、通院以外の用事を入れないか、余裕があったとしても通常の劇場公開作品を観に行くつもりでした。しかし、土曜日のトラブルの際、同じ作品の最後の日程である今日のチケットを用意してもらったので、もともと観る気で確保したチケットでしたし、このままスルーしてしまうのはどうしても惜しかったので、意地で出かけて参りました……一部で木枯し1号が観測され、夜にはだいぶ寒くなることが予想されているなか、どんな格好して自転車漕げばいいんじゃ、と悩みつつ。

 土曜日に比べるとだいぶ動きやすい六本木ヒルズにて鑑賞した、第27回東京国際映画祭2本目は、スウェーデンの異才ロイ・アンダーソン監督の“リヴィング・トリロジー”第3作にして第71回ヴェネツィア映画祭金獅子賞獲得作品『実存を省みる枝の上の鳩(仮)』(Bitters End配給)。仮、とついているのは、劇場公開は決まっているらしいけれど、邦題は変える可能性があるようで、配布されたアンケートに「タイトルこれでいい?」みたいな質問があったからです。だから念のために仮。

 ……と説明はしてみたけれど、そーいう知識はほとんどあとから仕入れました。ただ、絵画的に完成された構図や、エピソードのパッチワークめいた作りをしている、という紹介に惹かれてチケットを押さえたのです。

 なんとなく想像はしてましたが、とにかく謎だらけの作品。場面場面はどこかコントじみていて、随所で笑いを誘うのですが、そのシチュエーションはブラック。後半に行くにつれて悪夢めいたヴィジュアルも紛れ込み、特に最後に提示されたシーンはおぞましいくらい。それでいてぼんやりとした締めくくりは、不思議と一つ一つの場面を印象づけてしまう。評価の仕方に困る、シュールと生々しさの溶け合った奇妙な作品でした。面白かった、とは言えるけど、どうお薦めしたらいいんだか。

 鑑賞後はまっすぐ帰宅。予報通り、家を出たときよりもだいぶ涼しくなり、風は終始強い。行きは汗ばむくらいだったのに、帰りはもう1枚くらい着ても良かったかしら、と思うほど。急に季節が冬へと傾いてきました。

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