第27回東京国際映画祭、これにて閉幕。

 先週から開催されていた第27回東京国際映画祭は本日をもって終了です。メイン会場である六本木ヒルズでは、コンペティションの最優秀映画の上映なども含めたクロージング企画が催されていますが、前にも触れたとおり、そっちはレースにも参加させてもらえずチケット購入出来ずじまいだったので、同じ時間帯に日本橋にて上映されている作品からチョイス……どうしてコンペティション部門作品を、受賞作上映の裏でやってるのかがよく理解出来ませんけど、まあいい。

 TOHOシネマズ日本橋は上映フロアが上下に分かれており、上階のほうを映画祭に利用、下の階を一般上映に用いていました。エスカレーターで上がると、映画祭参加作品のポスターや、庵野秀明監督特集の特大タペストリーが飾ってあったりして、下の階と空気が異なるのが面白かったんですが、最終日の今日は、ポスターこそ飾られているものの、映画祭のキーヴィジュアルばかりで味気ない。本日上映作品のポスターぐらいあるんじゃないか、と期待していたのに、それも見当たりませんでした。六本木の隔壁にプリントしてあった奴を撮っておけばよかった……。

 私にとっての東京国際映画祭クロージング作品は、イランの映画です。アスガー・ファルハディ監督の影響を受けた新鋭ニマ・ジャウィディ監督作品、留学のための準備をしていた夫婦が突如降りかかった事件に翻弄されるさまを心理サスペンス的に描き出したメルボルン』(日本配給未定)。舞台はイランですが、夫婦の引っ越し先がオーストラリアのメルボルンなのでこのタイトル。

 アスガー・ファルハディ監督の影響を受けている、という1点で興味を惹かれて鑑賞したんですが、本当に如実。特別ではあるけれど、既に決まったことを粛々と片付けていくだけだったはずの1日が、想定外の出来事によって振り回される。そこで関わる人々と、彼らに対する夫婦2人の言動とが絶妙な緊張を生んで、ほぼ密室劇と言っていい作りなのにスピード感も緊張感も備わっている。謎や解決を明確に打ち出しているわけでもないのに――というより、だからこその特異な感覚と、深い余韻を留める秀作。もうちょっと主人公やその周辺の人々の人物像が明確であれば、という嫌味もありますが、でも間違いなく傑作です。それこそ『彼女が消えた浜辺』や『別離』といったアスガー・ファルハディ監督作品に惹かれたひとは、もし日本公開の機会があるなら観ておくべきだと思う。

 先日、体調を崩したときはどーなるかと思いましたが、何とか確保したチケットはすべて消化して、映画祭終了と相成りました……がしかし、休む間もなく明日は封切りを鑑賞してくるのです。観たい映画がまだまだたくさん残っているので、封切りを回収しつつ、上映終了が近づいている作品も可能な限り押さえていかないと……。

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