60年前のヴェネツィアへ。

 無事に第3回の開催が発表された新・午前十時の映画祭、しかし安堵している余裕は私にはなかった。今期の作品をチェックするタイミングを危うく見失いかけて、最終日の今日にどーにか駆け込みで鑑賞してきました。

 昨年は実に48本も鑑賞したTOHOシネマズ日本橋ですが、今年はまだこれが2度目です――と言っても、ペースが上がらないこの時点で、6本中2本なんですから、1/3来ているわけで。作品は、『戦場にかける橋』など重厚な映画ばかり撮っていたデヴィッド・リーン監督が、アメリカ人女性が憧れのヴェネツィアで遭遇するロマンスを美しくも苦み走ったトーンで描く『旅情(1955)』(日本ユナイテッド・アーティスツ×松竹配給)

 基本的にロマンスはあんまり好みでなく、どこか特異な趣向やひねった表現がないとしっくり来ないタチの私ですが、故にこれは良かった。浮かれ気分でヴェネツィアを訪れたものの、思ったように周囲との交流が出来ず孤独を味わうくだりや、出逢った男との情熱と理性がない混ざったようなロマンス。一見、定番のモチーフを扱っているように見えて、そこに留まらない苦みが滲む。午前十時の映画祭で先行して採り上げられた後年の作品より小味ですが、でも4度目の採用も納得の名篇です。

 第2回新・午前十時の映画祭もこれで残すところあと4本、どうにか今回もコンプリートが見えてきましたが、現在どーも出かけるタイミングを掴むのが難しくなっていて、油断すると見落としてしまいそうです……まあ、ようやく体調は安定してきましたし、作業のほうもペースが掴めてきたので、2週に1本なら何とかなりそうなんですが。まさか第3回でまた週1に戻します、とか言い出さないだろうな……?

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