時代がだんだん近づいてきた。

 朝4時近くまで頑張って、作業を一区切りさせておいてから一眠りし、新・午前十時の映画祭今年度2作目を観に行くために自転車にて日本橋へ。

 作品は、この映画祭では確か初めてのはずの2000年代作品、少年ながらバレエ・ダンサーを志した少年を巡るドラマを、少しシビアに、ユーモアと愛情を籠めて描いたリトル・ダンサー』(日本ヘラルド公開時配給)。日本での公開は2001年1月、それからしばらくした頃に公開された『クリムゾン・リバー』と『アンブレイカブル』を立て続けに鑑賞したことが契機となって、前年までは年に片手で数えるほどしか映画を観ていなかったのに、この年から一気に50本近くを鑑賞、以後転がり落ちるように映画道楽の道へ踏み込んでいったのです。あとちょっと早かったら、たぶん本篇も初公開時に劇場で観ていたでしょう。そのくらい最近の作品。

 これは確かに傑作でした。意外だったのは、主人公ビリーのダンス・レッスンの様子や駆け引きなどに尺を使わず、労働階級の暮らしの苦しさをユーモアとともに織り込んで物語を綴っていること。しかし、折に触れ披露されるビリーのダンスがどんどん上達していることが、その間の努力を窺わせ、そしてそれに対する周囲の反応で彼らの想い、感動を代弁している。この呼吸があるから、終盤で起きる突然の心境の変化が与える衝撃も大きく、それがそのまま結末の感動にも繋がっている。観ていてもそんなに予算がかかってないな、というのが解るんですが、その規模を越える質と魅力をたたえた傑作。この映画祭ではかなり新しい部類ながら、選ばれたのも納得です。

 ところで、TOHOシネマズ日本橋ではグッズ販売のために、ホールの真ん中に棚をふたつ常備しています。この左右に陳列して、レジで会計をするわけです。最近はアニメ作品の大量のグッズを陳列するために別途テーブルを用意していたりしますが、基本的にはこの棚がメインになっている。

 で、今日、帰る前に何気なく棚を眺めてみた。『アナと雪の女王』のグッズが置いてある。ああ、そういえばこのあいだ封切られた『シンデレラ』で、『アナ雪』の新作短篇が併映されてるんだ、と思い出した。そしてふと思った。『シンデレラ』のグッズはないのか、と。

 4面ある棚のうち、3面が『アナ雪』だらけで、『シンデレラ』は1面しか置いてなかった。

 あまりに露骨すぎて、その場で苦笑いしそうになりました。まあ、映画館はどれほど作品がブームとなっていても、上映中しかグッズは売れないのが普通なわけで、商機を逃さない、という意味では正しい。

 というわけで、未だ『アナ雪』にご執心のあなたは映画館にお越し下さい。そして、グッズを買うならついでに『シンデレラ』のことも思い出してあげてください。

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