“横溝正史と謎解き映画の悦楽2 本格推理作家の世界”を観てきた。

 1ヶ月ごとに異なる企画上映を行っている神保町シアターにて先日土曜日から、“横溝正史と謎解き映画の悦楽2 本格推理作家の世界”と銘打った企画が始まっています。昨年の、横溝正史原作映画を中心としたミステリ映画の企画が好評だったそうで、金田一耕助シリーズを軸にしつつ、新たにセレクトした作品を上映する運びとなったのです。楽しみにしていたので、せめて週に1本は観ておきたい、と思い、とりあえず今日、日が暮れてから行ってきました。

 今回鑑賞したのは、多岐川恭の原作を、のちに『南極物語』を撮る蔵原惟繕金子信雄西村晃主演で映画化、人生の絶頂にいた銀行員が、脅迫によって己を見失っていく様をサスペンスフルに描く『ある脅迫』(日活初公開時配給)

 1時間ちょっと、という短めの尺、絞られた人物と舞台で展開しながらも本当にスリリング。銀行員が脅迫犯に促されるまま別の犯罪に手を染めるのか、という緊張感に、銀行員によって虐げられる同僚の描写が更なるインパクトを添えている。ただ、終盤の展開にやや説得力を欠く印象なのがちょっと惜しい。特にラストは、あの出来事を暗示する要素が何処かに用意されていたほうが衝撃はあったように思います。とはいえ、1時間程度しかないのに厚みがあって面白い作品でした。感想のために情報を検索していたら、わりと最近になってハリウッドでリメイクの計画があるように報じられていたんですが、どうなったんでしょうねこれ。

 ちなみに今回の企画上映のラインナップ、中尾彬金田一を演じた『本陣殺人事件』や、本格ミステリ作家クラブ10周年企画で上映された『死の十字路』『死者との結婚』など、既に観た作品もいくつか含まれている。基本的に、過去に観た作品は省きたいんですが、なんとなく市川崑監督による金田一はひとつぐらい再鑑賞したい気分。作業の進み具合次第ですが、出来ることならもうひとりの金田一耕助ぐらいは押さえておきたいなー。

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