映画は面白かったんだが。

 今日ははじめから封切りの作品を観に行くつもりでおりました。問題はどの劇場に観に行くか、ですが、行きつけの蕎麦屋で食べたい、と思った時点でTOHOシネマズ西新井に確定。ちょっとだけ早めに起き出して、勇んで駆けつけたのです。

 作品は、『マネーボール』『しあわせの隠れ場所』を手懸けたマイケル・ルイスルポルタージュに基づき、リーマンショックの背後で巧みに立ち回り利益を上げた投資家達の姿を、ブラックユーモアで彩って描き、本年度アカデミー賞脚色部門に輝いた金融ドラママネー・ショート 華麗なる大逆転』(東和ピクチャーズ配給)パラマウントが日本での映画配給を取りやめたため、東宝東和が同社作品の配給を行うために新たに起こした子会社・東和ピクチャーズの第1回配給作品でもある……普通のひとにはどーだっていい情報でしょうが。

 如何せん題材が金融業界なので専門用語が頻出しちんぷんかんぷんになりそうですが、業界でまかり通る欺瞞を説明するために、作中人物のみならず、セレーナ・ゴメスとかマーゴット・ロビーといったセレブが本人として登場、砕いた表現で解説する、という風変わりな趣向も用いている。そのお陰で、事態を比較的単純化して受け止めることが出来る――しかし解ったうえで観ていると、本当に笑えない。かなりの変わり者が大挙し、妙な言動に及ぶことしばしばなんですけど、冷静になればなるほど事態が深刻すぎて笑えない。それを、長年コメディの世界で活躍してきた監督があえてコメディタッチで演出しているから、独特のテンポの良さと皮肉な表現とも相俟って、独特の味わいを醸している。だいぶ解りやすく解体しているとはいえ、専門用語が頻出しますし、ごく大まかにリーマンショックに絡んだ単語ぐらいは知っておいた方が面白いのは間違いないでしょうけれど、予備知識が多くなくとも惹きこまれる作りは確かにオスカーも納得。

 鑑賞後は行きつけの蕎麦屋へ――と思って、劇場を出る前に電話で確認したら、あろうことか、2月を最後にしばらく店をお休みしているんだそうな。思うところあって、いつ頃再開するのか、そもそも再開するのかも不透明な情勢らしい……まあ、家族で営んでいるお店で、色々大変な事情もあるのは察せられますから、軽々に「再開を待ってます」とも言いにくい。とりあえず、そのうちに行きたくなったら改めて連絡します、とは申し上げておきましたが……たぶん私にとって最も古い行きつけの店なので、なくなってしまうのはすごく惜しいんですが……こればっかりはどうしようもないんだよな、ほんとに。

 やむなく、映画館と同じアリオに入っている銀だこで食事を済ませて帰宅。もともと、お店が休みだったら銀だこに寄るつもりでいましたから、それだけなら想定通りだったんですけど……映画も面白かったというのに、遣る瀬ないモヤモヤを引きずって家路に就いたのでした。

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