東京アニメアワードフェスティバル2016、で想定外の初体験。

 18日から本日までの4日間、TOHOシネマズ日本橋にて、東京アニメアワードフェスティバルが開催されました。正直なところ、今年はあんまり興味のあるプログラムがないなー、と思い、見送るつもりでいたのですが、開催が近づいた頃になって、アカデミー賞長編アニメーション部門候補作である『アノマリサ』と『父を探して』の上映が発表されました。後者は直後に劇場公開が始まる一方、前者は上映が告知された時点では劇場公開などの予定がまだ確認できなかったので、こっちは是非観ておきたい、とすぐさま押さえました。早めに発券しておいて、当日を楽しみにしていたのです。

 ――が、いざ劇場に着いてみたら、さっそく聞こえてきた場内アナウンスが、「『アノマリサ』ご鑑賞のお客様は、お近くの従業員にお声がけください。お伝えしたいことがございます」と言っている。何事か、と思い、すぐに訊ねてみたら、とんでもないことが起きていた。

 手違いで、会場に届いた上映用素材に、日本語字幕のデータが入っていなかったんだそうです。やむなくそのまま上映するそうですが、理解の妨げになるのは確実なので、すべて払戻、字幕なしでも良ければ鑑賞して欲しい、ということでした。

 実は、あまりにも急に日程が発表されたが故に、ほんのちょっとだけこういう事態も想像してました。なのでそんなに驚きはせず、むしろ結果的にタダで観られてしまうのが申し訳ないくらいでした。少しくらいは落としていかねば、と久々にポップコーンセットを購入。

 というわけで鑑賞したのは、『エターナル・サンシャイン』や『脳内ニューヨーク』などのチャーリー・カウフマンの戯曲を、デューク・ジョンソンとの共同監督によるストップモーション・アニメーションで映像化、世の中に倦んだ挙句、周りの人間の顔も声も同じにしか感じなくなった男の一夜の出来事を描いたドラマ『アノマリサ』(NBCUniversal Entertainment Japan映像ソフト発売予定)

 アニメとは言い条、なにせあのチャーリー・カウフマンですから、字幕がないと全体を理解するのはさすがに無理でした。そこそこは聞き取れるんですけど、込み入った話になるとやっぱり細部のニュアンスが掴めない。しかしそれでも、上で触れたような主題は音声と映像だけでもちゃんと伝わります。また、どうしてこの表現手法を選んだのかもよく解る。そのうえで、こういうアニメには珍しいエロティックな描写もあえて採り入れたり、といった工夫もある。他のアカデミー賞候補とは毛色が違う、大人向けのアニメとして、喋っていることが3割くらいしか理解できなくても味わえる佳品です。

 ……とは言い条、やっぱり細かな台詞が解らないと感想は書きにくい。上で発売元を出してますが、残念ながら劇場での通常公開はないものの、今年6月3日に映像ソフトはリリースされるので、発売されたら再鑑賞して、改めて感想を書こうと思います。

 それにしても、台詞を理解しようと必死になって鑑賞すると、ポップコーンを食べている余裕はあんまりないらしい。いつもならちゃんと食べ終えてくるのですが、今日は珍しくあまったので、持ち帰って先ほど平らげました。

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