『亜人ちゃんは語りたい』#2 デュラハンちゃんは甘えたい/#3 サキュバスさんはいい大人/#4 高橋鉄男は守りたい

 触れようかなーと思いつつも映画感想にかまけていて手をつけられなかった『亜人ちゃんは語りたい』、第4話まで来たら触れずにいられない心境になったので言及します。

 第1話でもかなりいい膨らませ方をしてましたが、それは第2話、第3話でも同様でした。それぞれのキャラクターに絞ってエピソードを再構築しつつ、原作ではフォローし切れていなかった部分をうまく補っている。第2話、デュラハンである京子のデートのシミュレーションと称して、身体だけひかりの家に置いていくくだりで、当然あって然るべきだったトラブルを挿入して、デュラハンが生活する厄介さをうまく織り込んでますし、原作ではちょっと急すぎた、サキュバスの佐藤先生が高橋先生に惹かれる部分を、助走も加えてうまく盛り上げている。そこに、町のエピソードを加えるところがまた絶妙です……諏訪部順一のセクシーヴォイスを活かしすぎではありましたが。

 しかし白眉は第4話です。この作品のなかではもっとも重い、そして極めて本質に関わるエピソードを非常に丁寧に、そして真摯に描いている。原作にはなかった、高橋先生と佐藤先生の会話を挿入することで、続くひかりの見せ場が引き立ってます――さり気なく、佐藤先生に危うく催淫されて、理性を保つために紙パックを握り潰している高橋先生、なんて描写が入っているのもナイス。

 それを受けてのBパート、ここまでは原作と同じ流れなのですが、原作では第3話の流れを受けて描かれるひかりの妹・ひまりと高橋先生のエピソードを少しだけ前後してここに置くことで、Aパートにて描かれていたこの物語のスタンスをいっそう強調している。

 とにかく第4話は、この回だけ観れば『亜人ちゃんは語りたい』の肝がだいたい把握出来る、と言えるくらい秀逸な仕上がりでした。作り手もそれを解っているのか、Aパートのシリアス調も、Bパートでのややコミカルな描写も、先行する3話より力が入っている。世間的にどー評価されてるのかは知りませんが、個人的には納得のいく出来映えです。

 来週はいよいよ3人目の亜人の生徒、雪の話。どうして高橋先生に対して態度が頑なだったのか、いったいなにを悩んでいたかに触れるエピソードです。亜人3人組の仲がまとまる回にもなるはずですが、たぶんAパートで描かれる雪の悩みは、ミステリ的にも読めるエピソードなので、ここも私には楽しみなのです。

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