『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』

LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 [Blu-ray]

原作:モンキー・パンチ / 監督、演出、キャラクターデザイン、メカニックデザイン作画監督小池健 / 脚本:高橋悠也 / クリエイティヴ・アドヴァイザー:石井克人 / 企画:加藤州平、加藤良太 / プロデューサー:浄園祐 / 撮影監督:田沢二郎 / 美術監督:田村せいき / ヴィジュアルコーディネーター:斎藤裕子 / 色彩設計:茂木孝浩 / タイトルデザイン:関口修男 / デザインワークス:山下敏幸 / 編集:笠原義宏 / 音響監督:清水洋史 / 音楽:ジェイムズ下地 / 主題歌:Gary Stockdale『Revolver Fires』 / 声の出演:栗田貫一小林清志沢城みゆき山寺宏一、皆瀬まりか、広瀬彰勇 / アニメーション制作 テレコム・アニメーションフィルム / 製作、著作&配給:トムス・エンタテインメント / 映像ソフト発売元:KADOKAWA

2014年日本作品 / 上映時間:50分

2014年6月21日日本公開

2014年11月28日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video通常版:amazon|DVD Video限定版:amazonBlu-ray Discamazon]

公式サイト : http://jigen-movie.com/

dアニメストアにて初見(2017/2/9)



[粗筋]

 ヨーロッパの一国・東ドロアは現在、隣接する西ドロアと一触即発状態にある。東ドロアの歌姫クイーン・マルタ(皆瀬まりか)が西でのコンサート中に暗殺される事件が、火種となっているのだ。もともと警察力が強く極めて治安の良好な国と言われる東ドロアだが、現在更に厳重な警戒態勢が敷かれている。

 そんな状況でもルパン三世(栗田貫一)はお構いなしだった。次元大介(小林清志)と共に潜入すると、東ドロアの秘宝“リトルコメット”を狙うが、しかし想定よりも早く警察に勘づかれたことに気づき、強引な方法での強奪を余儀なくされる。

 しかし、どういうわけか警察は随所でルパンたちを先回りし、うまく逃げられない。遂にふたりは何ものかに狙撃され、重傷を負ってしまう。

 何とかその場を逃れたのち、次元は自らの身体を貫いた銃弾を確かめて、敵の正体を悟った。それは他でもない、現在の緊張状態を招いたクイーン・マルタ暗殺に用いられた銃弾だったのである。

 次元には心当たりがあった。その狙撃手はヤエル奥崎(広瀬彰勇)と言う。独自のポリシーを持つこの男は、必ずターゲットの墓標を先に用意する、という儀式を行っていた。次元とルパンが墓地に赴くと、案の定、そこには次元大介の名を刻んだ墓碑が既に用意されていたのである。

 プロであるヤエル奥崎が、個人の意志で標的を選ぶことはない。いったい誰が、ヤエル奥崎に次元の暗殺を依頼したのか、そして何故そこにルパンの墓碑はないのか? 背景を探るべく、ふたりは奥崎のアジトを割り出して潜入するが――

[感想]

 モンキー・パンチの漫画を原作とし、テレビシリーズの再放送とスペシャル版の製作を重ね、日本人に長年親しまれてきたアニメーション『ルパン三世』だが、2012年、実に27年振りとなるテレビシリーズ『Lupin The Third 峰不二子という女』においては、固まってきた“幅広い年齢層を対象としたアニメ”というイメージを脱却し、大人を意識した、ハードで大胆な描写を採り入れた世界観を構築した。その後もテレビの特番枠で放送されたスペシャル版や、イタリアにて先行放送された第4シリーズについては若年層も意識した作りをしているが、2年後に劇場公開という形で発表された本篇は『峰不二子という女』の方向性を引き継ぎ、かなり重量感を備えた作りとなっている。

 瀬戸際で繰り広げられる逃走劇、当たったらただでは済まない、と感じさせる射撃の描写。実際、ルパンも次元も早い段階で被弾し、血を流して行動に制約を受けている。プロならではの身体能力は感じさせながらも、空中を歩いたり足を複数生やして逃げまわったり、といったコミカルな表現でごまかさない。超人的な技倆は、アングルやスピードに工夫を凝らして説得力のある描写を組み立てている。

 登場人物たちの言動にも容赦がない。命のやり取りを要する取引をドライに行い、ルパンと次元のあいだにさえも馴れ合いの印象は乏しい。しかし、だからこそ人間をモノ扱いするような中盤の衝撃的な(かつ扇情的な)展開が生まれ、クライマックスを経て交わされる会話が力を持つ。

 恐らくこのスタッフを軸とした世界観でシリーズを構築することを目論んでいるのだろう、本篇の中では説明され尽くしていない背景や、伏線と思しい描写が残されている。それ故に若干だが消化不良の感もある。しかし、最も重要である、タイトルにもある“次元大介の墓標”についての問題にはきちんと決着をつけている。そのプロセスで、ルパンがその知力を遺憾なく発揮するところも本篇の大きな見所であり、このくだりがあるからこそ説明しきれていない点を残した不満もほとんど忘れてしまう。あとに残るのは、あえて消化しきれない部分を残したからこそ留まる苦みと、それによって却って際立った爽快感だ。

 限定上映でコアな客層に支持される作品とも、『君の名は。』のようなジュヴナイル的な路線とも、ましてスタジオジブリの流れを汲む幅広い層に支持される作品とも異なる、危うくも成熟した魅力を備えた作品である。2017年2月現在、劇場にて続篇『血煙の石川五ェ門』が公開され好評を博しているが、似たような魅力を持つ作品が多くないいま、根強く支持されるのも当然のことなのだろう。

関連作品:

ルパン三世 カリオストロの城(MX4D)

テッド』/『シュガー・ラッシュ

黒蜥蜴』/『K−20 怪人二十面相・伝』/『メカニック

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