松江怪談談義第5回at松江歴史館。

 今回、松江を訪ねた本題であるイベントはぜんぶ夕方以降の開催です。なので、日中は基本、観光で埋めていく。

 初日である今日は、まあ島根まで来たら礼儀としてお伺いを立てねばなるまい、と朝から出雲大社へ……本当は日御碕神社にも行きたかったのですが、いざ交通情報を調べてみたら、これが思いのほか厄介で、公共交通機関を用いると、まず日御碕神社周辺でほとんどの時間を割かねばならない。しかも余裕を持って行動しようと考えると、朝6時には宿を出なければならないという。すみません、朝食のバイキングは6時半からなんです……出雲大社付近でタクシーを捕まえれば行けますが、一人で往復すると馬鹿馬鹿しいくらい金がかかるので、今回は断念。ああやっぱし本当に行きたいところをすべて網羅したかったらバイクで来なきゃ駄目だ。

 出雲に到着するなり雨が降り始めて帰るまで止んでくれない、というちょっとした意地悪に見舞われつつも、きっちりとお詣りを済ませ、行ってみたかった蕎麦屋で無事に食事にもありついて、お昼過ぎには宿に一時帰還。

 仮眠を取ったあと、今度は宿で自転車をお借りして外出。観光――の前に、ギリギリになると慌てる羽目になる、というのは昨年学んだので、もともと候補に考えていたお土産を捜し回る。幸いに、宿からそれほど離れていない範囲でだいたい揃ってしまった。その代わり、荷物がかさばってきたので、いったん宿に戻り、お土産だけ置いて、再度出発。会場である松江歴史館に自転車を置いて、近くのラーメン店にて私としてはやや早めの夕食を摂り、いよいよ本番です。

 松江在住の小泉家4代目・小泉凡氏と、松江観光大使である怪異蒐集家・木原浩勝氏が怪談を巡って語り、その後の怪し会八雲を加えた“松江怪喜宴”の原点ともなったイベントも今年で5回目。今年のテーマは、いまさらな気もする“小泉八雲と幽霊”。

 話題は幽霊の定義や、国によって異なる捉え方など、かなりアカデミックな方向に。日本では“幽霊が出る家”というと忌避される傾向にありますが、イギリスではステータスとして求められる傾向にすらある。しかし、アイルランド人であった小泉八雲は少年時代、自らが遭遇したこの世ならざるものを強く怖れていた。そのことが、やがて日本にやって来た彼に、現代に残るほど優れた怪談の再話を促した、とも取れる。もちろん、他にも多くの背景があるわけですが、考察として興味深い。

 休憩を挟んでの後半は、木原氏の幼少の体験や、熊本地震で被災し現在改修中の小泉八雲旧居で今年になって確認された怪異についても言及したりとかなり拡散しましたが、小泉八雲という稀有な語り手が現代にもたらした影響の大きさに、木原氏の怪異蒐集に対するポリシーが窺え、最後まで興味深いイベントでありました。

 終演後もしばらく物販が行われ、凡氏と木原氏がサインにも応じてくださいました。休憩中、物販の宣伝をした際、地元の大学生が企画開発した“ほういちの耳まんぢう”のパッケージにもサインする、パッケージの“耳”に“新”を足して“新耳”にしてしまい、イラストに千切られた耳を足して、ついでに何故かイラストでは省かれている目も書き足して開眼させる! と木原氏が約束したらこのまんぢう及び関連商品が売れまくり、サインを求める列がず〜っと伸びてしまってました。

 そんな感じで本日は、日御碕神社訪問が叶わなかったことを除けば、ほぼ理想的に時間を使うことが出来た……のですが、そのぶん、ほぼほぼ動きっぱなしだったので、なかなかに疲れております……作業もあるので、しばらくは頑張りますけどね。

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