踊るには理由がある。

 懸案がとりあえずなくなったので、心置きなく映画鑑賞に行ってきました――気分転換の意味もあったとは言え、それなりにやましさもあったんですよこれでも。

 台風一過で陽気もいいのでお出かけはバイクです。自転車――は考慮に容れませんでした。だって、豊洲まで自転車漕いでたら、途中で茹であがる危険があるような予報が出てるもんだから。汗を掻くのは家に帰ってからにする。

 訪れたのはユナイテッド・シネマ豊洲。ここの何がいいって、バイクがこの上なく停めやすいことと、食事の場所に悩まなくて済むことです。今日みたいに、映画を観たらさっさと帰ろう、と思っている場合は最高の条件……まあ、理由はそれだけではなく、今日観たかった作品が、私にとって都合のいい時間帯にかかっているのがここしかない、というのもあったりする。なんでどこも朝一にかけてくれんのだ?

 鑑賞したのは『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』の矢口史靖監督最新作、催眠術にかかったために、音楽を聴くと自然とミュージカル状態に突入するようになってしまった女性の苦難をコミカルに描いたダンスウィズミー』(Warner Bros.配給)

「なんで急に歌って踊るの?」というミュージカルの根本的な疑問をそのまんまネタにしてしまった、とでも言いましょうか。実際にあんなことしたらこういう事態に陥る、というのを細かに拾っていて、ミュージカルとして完成されているくせにひたすら笑える。矢口監督らしい、あえて飛躍をさせたり、非現実的な部分も残しつつ、ドラマとしてはしっかりと説得力を作り出していて、気づけば“急にミュージカルが始まる”という事態をヒロインともども愉しんでしまってます。あえてオリジナル曲は作らず、Gentle Forest Jazz Bandのアレンジ・演奏でカヴァーした既存曲を用い、観ている人の多くが入り込みやすい音楽の世界を作り出しているのも巧い。観終わって踊りたくなる、という感覚が味わえる好篇です。やっぱり矢口史靖監督作品は安定してる。

 この作品、ヒロインを演じているのは三吉彩花、私にとっては『エンジェル・ハート』の香瑩を完璧に演じた女優なんですが、今回は立派なミュージカル女優やってます。しかしそれより驚き感心したのは、中盤以降でヒロインと行動を共にする女性を演じたやしろ優。作品、役柄との相性も良かったのでしょうが、素晴らしいハマりっぷりでした。

 鑑賞後は、豊洲ではお馴染みのラーメン店にて昼食を摂り、食事が済んだらさっさと離脱。まだお盆休みの期間内ですが、それ故にこういう複合商業施設は親子連れで賑わっている。単独行動している人間は用が済んだら出るほうがいいのです。

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