レンタルDVD鑑賞日記その681。

 今年7月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ88』を鑑賞しました。20年前の歓送会の映像に残された奇妙な現象“いるはずのない同級生”、干していたスニーカーが盗まれたことからベランダに設置した定点カメラに思わぬものが映り込む“シリーズ監視カメラ 外壁工事”、夏恒例の連作第2幕、取材中止を請われた映像と似た過去の投稿映像を、当時の演出補を再度招集して追う“続「黒く蠢くもの」”ほか全7篇を収録。
 長篇では、これまでも演出協力としてクレジットされていたかつての演出・川居直美が復帰する、というファンには嬉しい展開が用意されてます。前巻で悪い意味での存在感を発揮していた新人AD・上田が川居の参加でちょっと言動を控えてくれたので、前巻よりもだいぶ心穏やかに観ていられる……んだけど、その一方で、わざとらしく上田の行動をちょこっとだけ拾ったり、メインで取材を進める川居の脇に映り込ませたり、とその後もこの馬鹿が絡んでくるのを匂わせてるのがやっぱり鬱陶しい。案の定、後編に入ったらろくでもない容喙をしてくるし。
 長篇のオチは次巻なのでとりあえず判断を保留するとして、他の映像は、ここ最近としてはそんなに悪くない。このシリーズならかつてはやらなかっただろう、質感の統一の拙さを感じる部分はあれど(特に冒頭の奴はいただけない)、趣向そのものや、それに見合った尺のバランスの手頃さもあって、全体の印象はそんなに悪くない。個人的には、取材部分での展開も含めて闇の深さを感じさせる“いるはずのない同級生”はけっこうお気に入り。
 正直、現在の演出担当になってから、質の劣化が著しくて嘆いていたのですが、かつての演出がスタッフとして一時帰還しただけで少し改善する、というのがちょっと興味深い。怪奇ドキュメンタリーものでスタッフの個性を立てすぎるのは考え物だ、と私は思ってますが、立て方次第なんでしょうね。これの上田とか、『心霊~パンデミック~』の徳丸とか、変な取材の仕方や乱暴な発想ばかりを個性として主張してくるのが、私には鬱陶しくて仕方ないのです。そういうのはいらないから、もうちょっと映像そのものの怖さをちゃんと引き出して欲しい。
 ……こうしてみると、『not found』シリーズの杉本というのはけっこういいキャラの立て方してるんだな、と思います。アホみたいな暴走はするけれど取材対象には真摯だし。上田みたいなやり方は、あとでしっぺ返しを期待したくなるので、あんまし推奨しません。

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