第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」 in 新国立劇場 中劇場。

 3月くらいから様々なイベントが中止や延期を余儀なくされてます。東京03が行っている単独公演も例に漏れず、春から今ぐらいまでにかけて全国で実施されるはずが、東京での初演は早々に中止となり、他の地方公演も延期を繰り返し、最終的にすべてキャンセルになってしまいました。
 しかし、ここに来てようやく開催と相成りました。全国規模でのツアーは取りやめ、東京と大阪のみ、東京は当初予定していた恵比寿ガーデンホールではなく、第20回単独公演でいちどだけ利用した新国立劇場 中劇場にて、通常よりも回数多めで実施されることになったのです。チケット発売後に、会場でのグッズ販売なし(すべてネット通販で対応)、ファンアプリ会員向けのサーヴィスも従来行われていた缶バッジのプレゼントはなし、一方で来場前に個人情報の登録を求められたり、と色々制約は増えましたが、この際、生で観られるだけでも嬉しい。
 もともとは昨年と同様、恵比寿ガーデンホールで実施されるはずでしたが、いちどすべての日程がキャンセルになり、仕切り直しで会場となったのが新国立劇場 中劇場。私が初めて訪れた単独公演「不自然体」の会場だったため、いちど訪れたことがある……とは言い条、それ以外で足を運んだことがない場所なので、改めてルートを確認。位置的には新宿からすぐなので、駐車場さえ確保できればバイクのほうがいいのですが、何せバイクで行ったことのない土地は、駐車場の様子を体感的に理解もしてないですし、ちょっと先でも行ったことのない道を急いだり、夜に走るのは安全上好ましくない。というわけで、大人しく電車にて移動しました。
 入場に時間がかかることを想定してか、直前に開場を15分早める、という連絡がありました。どのみち、現地でのグッズ販売はなし、先行して始まっていたネット販売で注文済みなので、開演ギリギリに着くぐらいでもいい……と思ってたのに、いざとなるとやっぱり開場ピッタリに現地入りしてしまう私。我ながら警戒しすぎだと思う。

 というわけで、コロナ禍による中止から約4ヶ月、ようやく第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」開演です。
 ……しかし、公演はこのあと間を置いて11月から大阪でも行われます。ネタばらしになるので、改行を多めに挟んでから記します。ちなみに各ネタのタイトルは、来場者向けアンケートに記載されたものを参考に推測してるので、ソフト化されたときに食い違ってたり、変更されてたりする可能性があることをご了承ください。

















初台駅の新国立劇場直結出口手前の通路に掲示された『第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」』ポスター。
初台駅の新国立劇場直結出口手前の通路に掲示された『第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」』ポスター。
















 3人全員板付きで始まるのは、東京03お馴染みの居酒屋を舞台にした社会人のネタ『豊本の日』。説教もよくある題材ですが、ヒネリがさすが。冒頭から3人のキャラをしっかり際立たせたネタを仕込んでくる辺りが職人的です。
 続く主題歌『ヤな塩梅』は、前作「人間味風」と同じく、ニイルセンのイラストによるアニメーションを駆使。相変わらず、この唯一無二の表現手法が瞠目ものですが、今回は歌詞の作りも凄い。たぶん、音だけで聴いてたらまったく意味が解らない。どんくらい解らないものなのか、さっそく確かめてみたい……けど、CDはネット注文なので、すぐには届かないのよね。もどかしい。ほんとに、いい加減デジタルでもリリースしてくれんだろうか。
 ネタ2本目は、前向きになろうとする男の苦悩『前向きな言葉』。何をしてもネガティブな結果になりがちな角田さんのキャラクター性を活かしつつ、東京03らしい絶妙な着眼が光る1本。調子に乗った角田さんは面白い。
 このネタを受けての幕間映像は、ある格闘技の話。この辺は基本、放送作家オークラの脚本のはずですが、まさにオークラ節炸裂というべき屁理屈のラッシュが見事これも角田さんなら言い張りそうだしね。
 続いては、作家になった角田さんの災難……と言うべきなのかなんなのか、『続編』。ある程度、話題になった作品を送り出したひとが陥りそうな“罠”をうまくネタにしてます。ここも大ボケ担当・角田さんの活躍が目立ちますが、実は序盤の豊本さんが醸し出す得体の知れない雰囲気もポイントです。しかしこのネタのあたりで見出してしまったフレーズ、あれは麻薬なので、乱発しない方がいいと思う。実際、ここでしばらく執拗に使ってましたが、そのあとは意識的に控えた印象でした。
 ふたつめの幕間映像は、最近お馴染みの音声+テキストによるネタ。これも直前のネタを受けての内容ですが、マニアックなクイズの奇妙な側面をうまく戯画化していて秀逸。
 4本目のネタは『ケチになった男』。意外なようでいて、これも結構リアルだと思う。まあここまで極端なことをする奴はそうそういないと思うけど、それが板についているのが角田さんのコメディアンとしての才覚だと思う。
 続く幕間映像は角田さんの歌ネタ。歌ものはたいてい、音楽に詳しいオークラが何らかのパロディを仕掛けてるんですが(たとえば今回のオープニングの曲想はジャクソンズが原型)、これは解らなかった……強いて言えばミュージカルなのか、或いはプログレか。歌詞の内容は例によってただの屁理屈。
 5本目は『故郷に錦』。ここでの角田さんは役者という設定で喋ってますが、芸人でも、それ以外の知名度が鍵になる職業ならみんな感じる可能性のある葛藤だと思う。なので、角田さんの無理な理屈にちょっと頷けてしまうのが可笑しい。このあとの幕間映像はふたたびニイルセンのイラストを用いての省力型アニメーションですが、完全にこのネタの補強でした。
 6本目の『発覚』は東京03名物“豊美さん”登場のエピソード。この豊本さんが演じる豊美さんの面白いところは、声を作ることもしてないのに、女性に見えてしまう異様な説得力。だからこそ、あり得そうな展開がより頷けてしまうのです。ちなみにこのネタ、毎回飯塚さんが1本はぶっ込んでくる「飯塚さんがサボるためのネタ」でもある。注目は飯塚さんがどのタイミングで現れるか、です。正直これは、この趣向の個人的ベスト『第13回東京03単独公演 「図星中の図星」』を凌駕する見事さでした。ズルいぞ。あと、これにはこの公演のみならず過去のネタとも絡めた趣向があって、ある意味ファンサーヴィスの色合いが強い作品でした。
 ここで単独公演のお約束、グッズ宣伝ソングを投入。今回、会場での販売がないのでどうするのか、と思ってましたが、だからこそ外せなかったのかも知れない。
 大トリの長篇は『優しくなりたい』……アンケートでタイトルを確認したとき、「嘘だろ」と呟いてしまいました。内容的に、それを言うべき立場は角田さんのはずですが、そういう流れになるどころか、クズっぷりだけが加速していく。ある意味当然とも言える展開で、このまんまだと収拾がつかなくなりそうなところで、繰り出す詭弁が強烈に鮮やかでした。趣旨としてはヒドいんだけど、あまりに鮮やかすぎて感動してしまうレベル。
 エンディング・テーマ『日々、塩梅で』は名曲『Always Look on the Bright Side of Life』のパロディ。この公演、タイトルは『ヤな塩梅』ですが、全体に「解釈で何とか“いい塩梅”にしよう」というテーマが籠められている気がします。元ネタにこれを選んだのもその現れかも知れません……相変わらず、歌詞はネガティヴだけど。
 以上で公演終了。個人的に、ネタにもコロナ禍の影響が強く出ることを若干危惧してましたが、ちょっとだけ利用していたくらいで、基本は東京03の安定感が満喫できる仕上がりでした。ライブを生で観るようになって以来、基本的に初日に訪れるのが私の主義なのですが、初日としては驚く位に仕上がってたのは……やっぱり、春の日程に合わせて、ある程度はもうまとめてあったからなんだろうか。そうじゃないとしたら、空いた時間をとことん稽古につぎ込んだのかも知れません。そのくらい、初日にして充分すぎるほどの完成度でした。

 通常であれば、全国ツアーが済んだところで、ゲストを招いたり限定の趣向を加えたりした追加公演が実施される。最近はこの追加公演を映画館でライブビューイングとしてかけるのが恒例なのですが、今回は追加公演自体があるのかどうか……もし開催されるなら、最悪でも映画館には足を運ぶつもりなんですが、どうなることやら。

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