新耳袋トークライブ46

 昨晩の更新後、約三ヶ月ぶりのトークライブへ。前回は『逃亡者木島丈一郎』の放送があったので、それを観てから直接集合場所に赴きましたが、今回は通常通りというか、ついでに映画を一本消化してきました。作品は、『テキサス・チェーンソー』のスタッフによる名作ホラー映画のリメイク悪魔の棲む家』(20世紀フォックス・配給)。『テキサス・チェーンソー』自体がリメイクとして良質の部類だったのでちょっと期待していたのですが、裏切りのない出来。観客の目がないと成立しない怪奇表現の類があるために、より実話に近づけた、という売り文句は浮ついた印象になってしまっていますけれど、その点を割り引いても、恐怖を堪能するための映画としては丁寧で見事な作りです。詳しい感想は後日、このへんに。どうでもいいが、最近新耳袋ライブの前の映画鑑賞はいつも新宿オスカーなんですが……狙ったわけでもないのに。

 観賞後、すぐさま集合場所へ。本日は作家のKさんが執筆多忙のため、Fさんも色々あって欠席、松本楽志さんは明日(というかこの日記を書いている今日)『夜会』鑑賞なので遠慮され、けっきょく古い付き合いのNさんと二人きりに。しかもNさんも早朝からスキーに出かけるため、途中で抜け出すとのことで、最後には私ひとりになってしまうのでした。……まあ、ずっとひとりで参加していた時期もあるので一向に構わないのですが、いま参加者が増えすぎたために、次回の前売りはひとりあたり三枚まで、という制約が設けられているため、次回は参加できるとしても3人分しか確保できないのが残念。まあ、次回ふたり以上来られれば、そのあとはまたなんとかなるわけですが。やっぱり空いてそうな人に声をかけて一緒に来てもらうべきだったか。

 まあそれはそれとして、本日の内容。第十夜完成後、私塾など別の活動で多忙となっている中山市朗氏は欠席され、今回は木原浩勝氏単独での進行。

 まず冒頭に特別ゲストとして、ホラー漫画家の御茶漬海苔氏をお招きし、いつもとはちょっと毛色の異なるトークへ。ホラーばっかり書いているのに恐がりだという氏を前に、比較的最近取材した、幽霊の出て来ない類の奇妙な話を披露。御茶漬海苔氏は同じ会場にて、ホラー漫画家を集めた企画を催したことがあり、その際には木原氏も登壇してやはり怪談を披露したそうですが、反応が素直だったのが新鮮だったとか。まあ、このトークライブに来ている人たちはもう並大抵の話では恐がりもしないし同じ話を意味もなく繰り返したら冷たいが。

 月曜日までに片付けねばならない仕事がある、という御茶漬海苔氏は一時間ほどで退場され、入れ替わりにちかごろは完全に木原氏の弟子扱いで常連化しているI氏が登場。例によって木原氏の指示であちこち取材や人身御供に使われている様子の氏は、記憶では確か前回に発表された、やたらと変なことが起きるためにテナントが何度も入れ替わった飲食店施設を直接取材に行ったとかで、その模様をレポート。……が、正直この辺はいまいちでした。何もなかった、のは仕方ないにしてもダラダラしすぎ。しかも、ついでに発見してきてしまったVOW風の代物のインパクトが強すぎて、最後には笑いが取れすぎて締まりが悪くなる。仕方なく、休憩後に披露するつもりだったという奇妙な写真二種を前倒しで紹介して、とりあえず第一部は終了。写真が本当に変わった代物だったので若干持ち直しましたが、このひと幕は正直酷かった。

 第二部もまた簡単な怪談と、それに関連したI氏の調査報告で展開。しかしこちらは、怪談そのものが不気味なうえ、話に添って木原氏が体験者にお願いし、定点観測したビデオカメラの映像が入手でき、しかもその映像がはっきりとではないにせよかなり異様な現象が確認されたため、休憩前よりはずっと充実した内容になりました。やっぱりこのくらいでないといけませんです。ひととおり報告が終わったあとは、また軽めの怪談を幾つか披露して、二度目の休憩へ。わたしと同行したN氏はこの怪談の切れ目で帰られました。

 そして最後の第三部、ここがいちばん凄かった。毎度目玉は終わり近くに持ってくる、というのがこのイベントの手順ですが、今回ほどある意味嵌った回はなかったでしょう。やはり前回だったか前々回だったか発表された、とある神社にて確認された奇妙な出来事を、これもI氏がなんと当日の夕方まで(つまり18日の夕方まで)取材しており、しかもちゃんと報告された通りの現象を確認したうえ、動画撮影に成功して持ち帰っていたのです。知識のない人には解りにくく、しかし説明されると確かに異様な映像がスクリーンに映しだされると、この手の報告には慣れているはずの観客もさすがに沸きました。かなり強烈な映像なので、いずれどこかの媒体で木原氏かI氏がきっちりと発表されるのではないでしょうか。

 最後の質問コーナーでも、やや新耳袋の趣旨とは離れた方向で長びくという展開になり、全体にダラダラした印象でしたが、第三部の報告が凄まじかったので今回も満足。でもお願いですからお笑いはほどほどに願います。怖いなかに鏤められているなら歓迎ですが、第一部末にあのネタが出てしまったあと、やたら反復されてしまったのには閉口しました、ほんとに。

 ところで、今回は会場にて久々にお買い物をしてきました。当初はここで木原・中山両氏に東雅夫氏、京極夏彦氏による『怪談の学校』を買うつもりが、bk1で興味を惹かれる特典をつけてきてしまったのでだいぶ迷ったのですが、会場ではとくにオマケもない様子だったので、これはあとでbk1にて購入することに。代わりに、木原氏の提案で商品化されこの日初売りとなったという、折りたたみ式の座布団を購入。ロフトプラスワンの硬い椅子に長時間座っているのは、慣れていてもなかなかしんどいものであり、試しに敷いて座ってみたところ――これが本当に使い心地が良かった。値段相応に簡単な作りですが、ちょっと大きめの鞄やリュックなら仕舞っておけるサイズですし、これはなかなか便利でお買い得かも。気になる方は新耳袋携帯サイトか、新耳袋関連イベント会場にてご購入ください。……回し者か俺は。なお携帯サイトのアドレスにPCからアクセスすると、映像版『怪談新耳袋』のサイトに勝手に飛ばされますので、適宜アドレスをコピーしてご自身の携帯電話に送信するなりしてご覧ください。

 最後に余談。毎回、MDプレイヤーを持っていって録音し、暇のあるときに加工してPCに取りこんでいたのですが――今回、行きがけにちょっと頭痛がしたために風邪薬を呑んでいったのが悪かったのか、前回の録音に使用したカセットを交換しないまま録音をはじめる、という初歩的極まりないミスを犯してしまったのでした……確認はしてませんが、たぶん一時間程度しか録れてません。嗚呼。

コメント

  1. 冬野 より:

    「電話してくれれば、昨日なら行きたかったのに」なんて書きたいけど、そうするとどこかの編集者さんに路地裏へ連行されそう……。 担当の編集者を焦らして遊んでいたつもりが、気が付くと本当に余裕が無くなっていたという実話の都市怪談に悩まされている昨今です。

  2. tuckf より:

    あいや、もともと欠席された方のチケットを譲ってもらう機会がなかったので、誰かに一緒に来てもらうにしても間に合わなかったのです。でもまたこういうことがあったらお願いしますー。
    ちなみにその現状はたぶん罰が当たっただけかと思われ。

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