例年、生中継をリアルタイムで視聴して、ここでリストを更新していくのがこの数年の趣味だったのですが、今年はまったくやる気が起きませんでした。
直前に旅行があったり、体調を崩したりで、そのための時間が組めなかったのも大きいのですが、それ以前に、候補作が発表された時点で首を傾げることが多く、乗り気にならなかったのです。
本命視されていた『グラディエーターII』がさほど採り上げられなかったこともそうですが、候補作が世評とは別のところから、イデオロギーに絡んできて浮上してきている感しかないのがどうも気持ち悪い。もっと素直に、「映画として優れている」という点を評価していいはずなのに、多様性とか社会性とか、そういうところに凝り固まりすぎたラインナップになっているように感じるのです。
そのくせ、最多候補となった『エミリア・ペレス』は、候補になった途端に、トランスジェンダーとして初の主演女優賞獲得が期待されたカーラ・ソフィア・ガスコンが、過去に他のマイノリティに対する差別的発言を繰り返していたことが取り沙汰されて騒動になっている。この報道があった時点でも疑義が呈されてましたけど、大々的にロビー活動を行う前に、確認とかしとらんのか。ある特定のマイノリティに属するひとは、しばしば別のマイノリティに対して露骨な差別意識を示す、というのも実はありがちな傾向なので、それを世間に認識させたのは貢献とも言えるけれど。
ティモシー・シャラメがボブ・ディランに扮した『名もなき者/COMPLETE UNKNOWN』はそもそも題材が気になってましたし、報道というものが抱えるリスクを露わにした事件を再現した『セプテンバー5』は、賞に関わりなく観たいと思ってます。くっそ長い『ブルータリスト』とか、サスペンス色濃厚な気配のある『教皇選挙』もやっぱり気になる。
……まあ、もともと賞は参考にしかならない、というのが私の基本的な考え方です。だから、ノミネートすらされてなくたっていい映画はいい映画ですし、賞を獲ってたとしても、「それほどでもなかったなー」と思うのだって、観る側の自由だし、それぞれでいいのです。世間的な評価とか俳優の人間性とかは別にして『エミリア・ペレス』がいい作品だ、と捉えるのも。
と言いつつ、これまでアップしておくのを恒例にしてたので、手が空いたらたぶんリストは作る。
今年はまったく興味が湧かなかった。

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