怪奇映像の吹きだまり、みたいな発想は悪くないが。[レンタルDVD鑑賞日記その745]

 昨年4月リリースの『封印映像52 心霊処理場』を鑑賞。映像制作会社に残されていたドキュメンタリー取材映像が記録した恐怖“黒髪の同居人”、心霊スポットで撮影された奇怪な映像が衝撃の展開を迎える“おいかけっこ”、近所でクレーマーとして評判の女性に嫌がらせをしようとした若者たちが思いがけない光景を目撃する“縫い付ける女”、怪奇映像が捨てられるスポットを取材したスタッフを恐怖が襲う表題作の全4篇を収録。
 いちど失踪した前後から霊能力者っぽくなった演出補・田中が露出を減らし、表題作では後輩の演出補・玉置が奮闘してます……こういう作品のスタッフとしては、まだまだ掘り下げ甲斐のありそうな場所に取材しているというのに「早く帰りましょうよ」とか言い出すのは若干問題がありそうですが、まあ、素直でよろしい、という見方も出来る。
 はじめから“心霊”と打ってしまっているようなシリーズと異なり、これは“封印映像”なので、いわゆる怪奇現象に限定せず、不気味な光景、現実で起きうるけどおぞましい出来事を取り扱うことも出来る。そういう意味で、今巻の《縫い付ける女》は久々にインパクトが強かった。前提として、これだけの異様な現実があるなら、さすがにもっと早いうちに目撃談が出ていていいはずでは、という疑問もありますが、あえて何もかも説明せずに終わったのは却って懸命だと思う。
 しかし表題作はけっこう微妙。こういう作品には珍しい率直なスタンスで取材に臨む玉置は決して悪くない、悪くないが……そもそもこの話、なんで取材に行くのかがよく解らない。現物がないのになんで一緒に行く? 怪異とは別のトラブルに遭遇したらどーすんの? 廃墟での行動も軽率だし、怖さよりもツッコミどころに気を取られる内容でした。
 50巻を境に、演出補・田中や一部の霊能力者を退場させたので、新たにスタッフのキャラを立てねば、とか考えてのことかも知れませんが、ちょっと方向性を間違っている気がします。

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