まずマナーを知れ。

 昨日の『タモリのジャポニカロゴス』に続いて、特番で好評を博したバラエティがレギュラー化しました。TBSの『知ったかぶりクイズあなた説明できますか?』は、毎回よく似た意味で使われるふたつの単語がどう異なるのか、を説明できるか否かを判断するクイズ番組。わりと意識せずに使っている言葉の違いを解りやすく説明してくれるし、その過程における出演者の侃々諤々が楽しいので、放送されるたび結構面白がって見ていた番組ゆえ、レギュラー化は嬉しい。本日は来週からのレギュラー開始を前にした二時間の特番だったのですが。

 早速やってくれやがりました。よりによって、『オリエント急行殺人事件』のオチを思いっ切りバラしやがりました。

 そのときのテーマはミステリーとサスペンスの違い。この説明を水野晴郎にさせるのも何か間違っている気はしますが、番組での説明もミステリーは「犯人が最後で解る」、サスペンスが「犯人が最初に解る」という微妙なもの。おいおい待てや、その説明じゃ「日本一売れているミステリー小説」として紹介した松本清張砂の器』は半分ぐらいで犯人が事実上判明してしまうのでサスペンスになってしまうし、間違ってもサスペンスを持ち味としない鮎川哲也の鬼貫ものもすべてサスペンスにされてしまうではないか。そして一般にサスペンスの巨匠とされるウィリアム・アイリッシュのたとえば『幻の女』もミステリーというだけになって仕舞うではないかー。出演者が途中で口にした、ミステリーは謎を扱った話、サスペンスは筋でハラハラとさせるもの、で充分だと思うのだが。変に踏み込んで混乱させるような解釈はしないほうが無難だぞ。

 何にしても、レギュラー化を前にしたスペシャルで、幾ら有名な作品ではあってもいきなりミステリーのネタばらしをする、というマナー違反をしたのは拙い。とりあえずスタッフはいちど頭を冷やしてきましょう。だいたい途中で「エチケット」と「マナー」の違いを説明していたが、それならネタばらしが「マナー」違反であることぐらい解っただろうに。

 ちなみにこの文脈で、世界一長いミステリー小説として二階堂黎人氏の『人狼城の恐怖』が紹介されてました。新書判を全巻積み上げると広辞苑と辞書一冊を重ねたより厚い、と言ってるんですが……あの、紙の質が根本的に違うぞ。ページ数を数えてみろってば。

コメント

タイトルとURLをコピーしました