槇原敬之の最新カヴァー・アルバムから二度目の引用。矢野顕子の同題曲を槇原流に調理したものですが、繰り返し言っているようにこのアルバムの白眉です。当たり前のことを言っているだけなのに沁みてくる秀逸な歌詞に、難しい展開なのに聴き心地はいいメロディが切ないくらいの説得力を齎している。矢野顕子といえば、他人の歌も完璧に消化して自分のものにしてしまう達人ですが、これに関しては多分矢野版に勝るとも劣らないクオリティになっている……と思う。
実は何故かこの曲の矢野版は持ってません、ファンなのに。何せSony移籍後からのファンなもので、ベストにも収録されていないMIDI時代の曲はほとんどフォローできてないのです。しかし矢野顕子の、これを表題曲としたアルバムはあのYMOとの共演で、『ひとつだけ』や『在広東少年』といった未だに語り継がれる代表作を収めているぐらいの代物ですから、買っておいたほうがいいのかも……。
コメント
こんにちは。私はこの槇原敬之のカヴァーアルバムですっかり「ごはんができたよ」の虜になり、矢野顕子さんのアルバムまで買ってしまいました。
でも「ごはんができたよ」ってアルバムもあったのですね、私が買ったのは「ホーム・ミュージックII」。ちなみに「ひとつだけ」も収録されていました。
書く前に矢野顕子の公式サイトで調べたのですが、MIDI時代のベスト盤には考えが及びませんでした。『ひとつだけ』はSony移籍後の同題ベストアルバムのために録音し直したものが非常にいいので、またいつか機会があったら聴いてみてください。以前誰かが言っていましたが、矢野顕子という人は年を重ねるごとに声の透明度が増しているので、同じ曲でも後年に録り直したもののほうが洗練されていることが多いのです――そう考えると『ごはんができたよ』も新しい矢野ヴァージョンをちょっと期待したくなったり。