原題:“Resident Evil : Extinction” / 原案:Capcom『バイオハザード』シリーズ / 監督:ラッセル・マルケイ / 脚本:ポール・W・S・アンダーソン / 製作:ベルント・アイヒンガー、サミュエル・ハディダ、ロバート・クルツァー、ジェレミー・ボルト、ポール・W・S・アンダーソン / 製作総指揮:マーティン・モスコウイック、ヴィクター・ハディダ、ケリー・ヴァン・ホーン / 撮影監督:デヴィッド・ジョンソン,B.S.C. / 美術:エウヘニオ・カバレロ / 視覚効果スーパーヴァイザー:デニス・ベラルディ、エヴァン・ジェイコブス / クリーチャー・デザイン:パトリック・タトポロス / 編集:ニーヴン・ハウイー / 衣装:ジョセフ・ポロ / 音楽:チャーリー・クロウザー / 日本版主題歌:倖田來未『LAST ANGEL feat.東方神起』 / 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、オデット・フェール、アリ・ラーター、イアン・グレン、アシャンティ、スペンサー・ロック、マイク・エップス / コンスタンティン・フィルム、デイヴィス・フィルムス、インパクト・ピクチャーズ製作 / 配給:Sony Pictures Entertainment
2007年アメリカ作品 / 上映時間:1時間34分 / 日本語字幕:太田直子
2007年11月03日日本公開
公式サイト : http://www.sonypictures.jp/movies/residentevilextinction/
[粗筋]
ラクーン・シティ崩壊から数年を経て――T−ウイルスの感染は世界規模に及び、人類はもとより地球全体が死滅の危機に瀕していた。生物にまで感染が拡がったために世界中が不毛の地と化し、果てしない砂漠が地上を覆い尽くしている。生存者たちは栄養を大量に摂取する必要のない感染者――アンデッドたちが大挙する大都市を避け、旅を繰り返し各地で物資を調達しながら、辛うじて命を繋いでいた。
事態の中心人物であったアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)はラクーン・シティ脱出後、首謀者であるアンブレラ社の監視の目が自分に注がれていることを察して、一緒に行動していた仲間たちと別れ単独で旅を続けていた。そんななか、ガソリン補給のために立ち寄ったスタンドで、彼女は1冊のノートを発見する。そこには、世界中で唯一、アラスカだけに感染が及んでおらず、安心して暮らすことが可能だ、と記されていた……
他方、アリスと共にラクーン・シティを脱出した面々のうち、S.T.A.R.S.のカルロス(オデット・フェール)とL.J.(マイク・エップス)のふたりはクレア(アリ・ラーター)という女性がリーダーを務める車団に加わり、彼女が保護した人々のために物資調達や警護に従事していた。半年前までは5O人を超えていた仲間たちも、各地でアンデッドに襲われるなどして既に3O人程度まで数を減らし、しかしそんな彼らのために確保できる物資もいよいよ底をつきつつある。
危機感に苛まれる中、一時的に彼らが滞在していたモーテルを、想像を超えるものが襲撃した。活動を停止したアンデッドを喰らい、自らもアンデットと化した鴉の集団――物量で襲いかかる彼らによってクレアの仲間たちは翻弄され、次から次へと命を落としていく。逃げそびれた仲間の少女・Kマート(スペンサー・ロック)を助けるために走ったカルロスもまた絶体絶命かと思われた、そのとき――奇跡が起きた。
近くにいたアリスが、その後に開花させた特殊能力で、クレアの仲間が放った火を操り、上空を覆う鴉を文字通り一掃したのである。クレアたちを危機から救ったアリスは、だが力を酷使したことにより衰弱し、昏倒してしまう……
しかし、この出来事によってアリスは、いちどは逃れたアンブレラ社の監視網にふたたび捕らえられてしまう。地下に潜伏し、ある計画を推進していたアイザックス博士(イアン・グレン)は早速、彼女を確保するべく暗躍を開始する……
[感想]
日本のゲーム文化が世界に受け入れられるようになり、それらを原作としてハリウッドが映画を製作する、という潮流が生じて久しいが、その中で最も成功したのがこの『バイオハザード』シリーズであることは疑いを容れない。原作の大ファンであった1作目の監督ポール・W・S・アンダーソンが原作の要素をふんだんに折り込みながら、ホラー映画の枠に留まらないアクションとスペクタクルを構築、ゲームファン以外にも指示され大ヒットに結びついた。アンダーソン監督が他の作品に携わる都合もあってアレクサンダー・ウイットにバトンが託された第2作では、アクション性・娯楽性がいっそう強まり、またストーリーもゲームから離れて拡大していったこともあって賛否は分かれたが、それでも集客力を維持して成果を収めている。
先導的な製作者となっているアンダーソン監督も影響を受けていると表明するラッセル・マルケイ監督が手懸けた最新作である本編は、娯楽アクション化が更に押し進められている。結果として、“ゾンビ”というガジェットが登場するだけで、とうていホラーとは呼べない作品になったものの、しかし演出のシャープさや娯楽作品としての爽快感などは間違いなくシリーズでも屈指のレベルに達している。
ミラ・ジョヴォヴィッチはもともとアクション・ヒロインとしての資質が色濃いが、その意味で期待された前の主演作『ウルトラヴァイオレット』は、監督カート・ウィマーが自身の出世作『リベリオン』ほどの完成度に作品を持ち込めなかったために不完全燃焼に終わったきらいがある。その雪辱、というわけではないだろうが、本編では前作において示された可能性を充分に活かし、爽快なほどの強さを堪能させてくれる。冒頭から、旅の途中で罠に嵌められながらも返り討ちにし、かつての仲間たちが遭遇した危難を迫力の技で一掃、終盤におけるレベルアップしたアンデッドとの戦いでも存分に力を発揮している。彼女以外の人物も要所要所で存在感を顕し、まさに娯楽映画の醍醐味、とも言える華麗な死にざまを披露している者もあってかなり絢爛たる仕上がりだ。
惜しむらくは、それほどアリスの強さを誇示した割には、最後の敵の倒し方がいささか安易だった点である。あそこまでスーパー・ヒロインとして描いていたのだから、最後にももうひとまわり上のカタルシスを用意して欲しかった――だが、こういう嫌味は本編をアクション映画として捉えた場合に出てくるものである。シリーズ物として鑑賞した場合、初期から提示されていたモチーフをきちんと活かしたあの手段は極めて正しいものだ、という判断の仕方もある。
全般に、娯楽映画の様式を極めてよく弁えたスタッフによる職人芸、という趣の色濃い作品である。砂漠の中を跋扈するアンデット、という意表をついた組み合わせを十全に活かし、血飛沫が舞う凄惨な戦闘をスタイリッシュに、存分な迫力をもって捉えた映像はそれだけで見応えがあるし、客席を揺さぶるほどの音響など、劇場で観る価値のある作りとなっている。
とは言い条、様式美を様式美として楽しむ意識、或いはシリーズ物としての“お約束”を“お約束”として受け入れられる姿勢のある方でなければ、あれこれと不満を感じるであろうことは充分に考えられる。アクションや見せ場が成立していれば大丈夫、という方なら心ゆくまで堪能できるだろうし、前作を面白いと感じられた人であればまず楽しめることは請け合いだが、絶対、とは保証しづらいのが困ったところである――とりあえず、私自身はとことん楽しめたけれど。
コメント
ミラ・ジョヴォヴィッチ主演「バイオハザード」シリーズ第3弾!
ついに明かされる、絶滅へのファイナル・ステージ!!
未体験の衝撃と感動、そしてさらなる進化を遂げたハイスピード・アクションにクギづけ必至!
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