久々に帰郷した友人と共に潜入した母校の廃墟で異様な光景を目撃する“おぶさる”、肝試しに出かけた友人カップルの帰りを待っていた男女の元に現れた来訪者“ヤバイヤツ”、たくさん飼っていた小鳥を逃がしたあと忽然と姿を消した娘を巡る怪奇現象を追った前後篇“きえていく”など6篇を収録。
『ほん呪』に続いてこっちも演出・構成がバトンタッチしてます。演出補は同じ面子ですしテイストはほぼ変わってない……んですが、面白いことに、明らかに拙さが目立ってるのよね。新しい演出担当者は別のところでも怪奇ドキュメンタリーに関わっていたはずの方なので、もーちょっとこなれていても不思議ではないんですが、全般にいまひとつ。特に前後篇の“きえていく”の拙さは非常に引っかかる。
内容的にいちばん興味深いのは“ヤバイヤツ”ですが、何故かその場にいた人物のひとりから直接話を聞いていないその理由が明かされていないのはどーしてなのか。問題の人物に何か異変が起きていたのだとしたら言及しないのも妙ですし、何事もなかったとしてもわざわざ伏せる意味がない。せっかく題材としては魅力的なのに、説明不足で魅力を削ってしまっている。結局どうなったんだよいったい。
前巻までは、『心霊玉手匣』あたりの面白さも踏襲した、期待の出来る作りだったんですけど、率直に言ってレベルが下がってしまった感は否めない。切るほどにヒドくはないので次の巻も観るつもりですが、ちょっと今後が心配です。
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