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今年2月にリリースされた『心霊スパイラル02』を鑑賞しました。街中で行われたアイドルの独占撮影会のさなかに起きた異変“撮影会”、新木場界隈に出没するという全裸の男を捕らえる、という設定で撮影を行っていた男たちが異様なものと遭遇する“夢の島にて”、前作で失踪した前田に代わって起用された女性タレント・三坂が勝手に持ち込んだ怪奇絵像を巡る顛末を描く前後篇“辺りの女”など6篇を収録。
前巻の印象は悪くなかったんですが、今回は序盤のスタッフのゴタゴタっぷりに苛々させられました。色々言ってますけど、そもそもこのディレクター、まともな取材の出来る人間を選んでないだろ。前作で消息を断った前田に代わり、新たな女性タレント・三坂を起用するものの、身勝手な行動に振り回され、挙句にカメラを持ち出されて連絡を断つ……って、そもそもちゃんと事務所と契約してる子なんですから、独断専行してる時点でもう責任を取らせなきゃ駄目でしょ。撮影協力をするひとに終了時間を伝達していなかったがために、夜まで残るはずが東京に帰らざるを得なくなったり、と手際の悪さがヒドくなってる。さすがにここまで行くと、肝心の怪奇映像の内容がボケてしまう……というか、率直に言って、プロの眼で見て使い物になる、と思える映像じゃないんですけど、あれ。
終盤の展開はそれなりにホラーテイストがあって面白い、とも言えますが、みんなあまりにも行動が自分勝手過ぎて同情も共感もしづらい。男性スタッフも異常な場面に遭遇して勝手な判断で行動して事態をややこしくしてるし、女性スタッフが撮影してきた映像も、そこまでの証言を裏付けるようなものではなく、何もかもが曖昧にぼかされた感じ。実際の出来事を追っているだけだから説明がつかないのは仕方ない――と好意的に解釈するにしても、作り手が理解を深めようという努力すらしてないんですから、観ているほうとしては釈然としない印象だけが残る。
ほか4篇の短篇は、まあまあの仕上がり……ではあるんですが、肝心の怪奇映像がほぼ観づらいのが困る。特に、冒頭から被写体のアイドルが毒を吐きっぱなしの“撮影会”や、現地に赴く撮影者の言動が既にヤバい“夢の島にて”など、シチュエーションの面白さに対して、肝心の怪奇映像の怖さをきちんと引き出せていないのは致命的です。
まあ一所懸命作ってるな、という気はするのですが、全般に思慮が乏しい。2巻にしてこの有様では先が思いやられます……とりあえず、ちゃんと考えて行動出来るスタッフ入れようね、ディレクターも含めて。
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