先日、両親が揃って携帯電話を新調しました。セットなら一台とほとんど変わらない価格で機種変更が出来ます、といういったい何処の通販だ、みたいな売り文句に誘われて買ってきたのは、……私が使っているW31Sの後継機であるW41S。現在はウォークマンスタイルを継承したW42Sが最新型としてリリースされているため、型落ちして価格が大幅に下がっていたらしい。なんか悔しい。
後継機種なので、これも音楽再生に対応している。というわけで母が、着うたに使用するために音楽データの取り込みを、職場のパソコンを利用して行おうとしたところ、どうも巧くいかなかったそうで、私のパソコンを使って試して欲しい、と頼まれました。あくまで後継機種なので、そんなに手間取るまい、と安請け合いしたのですが――
――とんでもなかった。仕様が全然違って、使い勝手が悪いのなんの。
まず、携帯電話の音楽データを管理するためのソフトのインストールがしづらい。いまどきこんなに何度も再起動させられるソフトというのも不思議ですが、ヴァージョンアップのために繰り返しダウンロードをさせられ、最後のアップデータのあとにはパソコン自体がしばし正常に起動しなくなるトラブルが発生。
続いて携帯電話を繋ぐのですが、ドライバをなかなか認識しない。そもそも通常のプラグアンドプレイで認識させても、同梱したドライバ入りのCD-ROMに入っているはずのUSBドライバが確認できないという仕様はいったい何なのでしょう。CD-ROMに入っているランチャーから予めドライバをインストールしたうえでもう一度繋ぎ直しても認識せず、結局は携帯電話をUSBコネクタに繋いだままCD-ROMからドライバをインストールして、それからコネクタの抜き差しをやり直してようやく認識。何なのだいったい。
トドメは、この携帯電話専用の『au Music Player』という代物、パソコンに既に入っているmp3などの外部ファイルをいっさい導入できず、ネット上の専用ショップからダウンロード購入したものか、CDからこのソフトを通して変換したファイルしか使用できないという点。
……もうどうしようもありません。手持ちのCDが数枚程度ならともかく、こちとら大量にあるからこそデータ化してパソコンに入れて音楽を聴くのをメインにしているわけです。そんなに簡単にCDを捜して入れられるような状態ではない。母が入れて欲しいと言っていたのは、着信音にするための2・3曲程度だったのですが、そのためにすぐにCDを引っ張り出せるわけもないので、とりあえず諦めて貰う。
だいいち、このシステムではわざわざ携帯電話のために同じ音楽を二種類のデータで取り込まねばならず、そのぶんだけユーザーに負担をかけることになる。いったいこの携帯電話のメーカーは何を考えているのか。
ふと思って、この両親が買ってきたものの次世代、つまり現行最新機種ではどんな仕様になっているのかをメーカーのサイトで確認してみる。……案の定というか、最新機種のW42Sでは『au Music Player』だけではなく、私が使用している『SonicStage』にも対応して、mp3などのファイルにも対応させている。たぶんW41S発売当時にそうとう抗議を受けたのでしょう。そりゃそうだ、この仕様では旧機種から移行しようとしても引き継げるものがないわけですから。
但しそれでもよくよく仕様を読んでみると、W42Sの売りである大容量1GBメモリには『au Music Player』からのデータしか転送できず、一般の音楽データは私の使用しているW31Sと同じようにメモリースティックに入れるしか出来ないようになっている。結局のところ、状況は大して変わっていない。
いったい何なんでしょう、このユーザーのニーズや使い勝手を無視した仕様は。正直なところ、W42Sには惹かれるものを感じていたのですけれど、このソフトウェアの融通の利かない作りでは手出しがしにくい。本気で音楽ケータイを標榜するなら、しかもパソコンとの親和性を強調したいのなら、従来のデータに対応するのがまず第一歩でしょうに。恐らくは『au Music Player』採用の規格を浸透させるのが狙いなのでしょうが、規格が浸透させるには音質と圧縮率のバランスであったりファイルの扱いやすさであったり、そういった規格自体の優位性を強調するのが第一であって、ユーザーに使用を強制すればそのぶんだけ反感を買ってマイナスになる、ということが見えていないようです。
先の新型ウォークマンにしてもそうですが、いまのSony系列は何が求められているか、どうすれば定着するかという思想がまったく欠如しているようです。我が家では昔からSony製品をよく購入していたのですが、それ故に余計に危機感を覚えます。ほんとに、この有様では駄目だと思う。
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