昨年6月リリースの『Not Found ネットから削除された禁断動画 スタッフによるベスト・セレクション パート7』を借りて鑑賞。とある飲食店の厨房で起きた悲劇の一部始終を黒くした“職場イジメ”、ロードバイク走行中の様子をカメラで記録していた男性が目撃した異様なひと幕“”、“ジグザグの行進をする集団”、AD杉本に宛てて届いた映像をきっかけにスタッフが海を渡る前後篇“地底人現る”ほか全9篇を収録。
痛いの2つに怪奇現象とはちょっとタイプの違うものが2本、AD杉本が絡んだ前後篇、と『Not Found』にしか出来ないラインナップが並んでいるのは認める……認めるけど、たぶんこの手の怪奇ドキュメンタリーを観る多くのひとが望んでる流れではないはずなんです。いくら評判がいいように見えても、それだけを集めるのはちょっといただけない。まして、リリースしている本数に対して過剰な7本目のベスト盤としてリリースするには内容的にしょぼすぎる。
いちばん引っかかるのは、わざわざ採用した前後篇がよりによって地底人を扱った、金のかかった悪ふざけみたいな話だった点。小笠原諸島へのロケまで実施していて、こういうシリーズではだいぶ予算を使った回だと思われますが、ネタ的にははっきり言って無駄遣い、旅費で予算を使い果たして楽屋オチみたいなかたちにせざるを得なかった、という印象を受ける内容です。ドキュメンタリー部分なしでも成立するくらいクオリティの高い怪奇映像が複数揃ってる巻なら、こういう話が前後篇で入っててもご愛敬で済みますが、“ベスト”と称して収録するのはさすがに納得いかない。
どうせこれを入れるなら、視覚的に痛いエピソードばかりを集めてたほうがマシです――個人的には、このシリーズに収録されてる痛いエピソードは、肝心のところでカメラを逸らしてたり、微妙にアングルから外れてたり、と真実ならあり得ない仕上がりばかりで、それこそベストに収録するには不自然。これに収録されているのは“職場イジメ”と“空気圧で”の2篇ですが、どっちもそんなに出来良くないと思う。
ただ、それ以外は比較的観られる内容。心霊スポット突撃シリーズは、怪奇現象こそ起きてませんが、それ故に内容的には誠実ですし、“ジグザグの行進をする集団”は得体の知れない感じが怪奇ドキュメンタリーとしては優秀。“マイクロスコープに映ったのは”も、経緯には少々引っかかりを感じますが、この状況で映ったら無茶苦茶気味が悪いのは確かで、このベストの中では数少ない正統派と言っていい。……でも、それでも通常巻のレベルだけどね。
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