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- パット・メセニー『オーケストリオン』(Nonesuch Records/WARNER MUSIC JAPAN/CD) [bk1/amazon]
今日はこれだけのために夕方、わざわざお買い物に出かけました。トリオによるライヴ盤『トーキョー・デイ・トリップ』からだいたい1年半ぶりとなるパット・メセニー久々の新盤は、“ひとりオーケストラ”アルバムです。
これまでにも初期に『ニュー・シャトークァ』にイタリア映画のサウンドトラック『天国への道』といったオーヴァーダビングによるアルバムを発表していますが、今回は本当の“同時演奏”なのだそうです。多くのエンジニアの協力を仰いで、ピアノにドラム、マリンバ、更には緻密に音程を調整した空き瓶までを、メセニー自身がギターと同時に演奏できるシステムを構築したのだとか。ジャケットでその片鱗が、以下の動画でその演奏風景が確かめられます。
……もう、なんというか、本人も認めてるようですが、子供の夢を具現化したような演奏です。
しかし以前にも「とにかくたくさん弦を張ったギターを」という要望を出してピカソ・ギターなるものを製作、未だに専用の曲を作ったりライヴで用いたりしているくらいですから、ちゃんとシステムに最適化した曲を用意している。曲想は『ザ・ウェイ・アップ』に近い、組曲のような趣がありますが、当人のリズムで統一された演奏は、やはり前述のソロアルバムのような内省的な雰囲気が強い。それでいて壮大さもあり、相変わらず聴き応えは凄い。
でも惜しむらくは、レコーディングされたもので聴いている分には、そのアイディアの凄さがいまいち実感できないことです。一体感、透明感と曲の完成度はさすがなんですが、完成されすぎていて、アイディアの凄みまで伝わらない。これは可能ならライヴで見てみたい。ツアーも決定していて、まだ時期は確定していないそうですが、ちゃんと日本にも来るらしい。……押さえられるかなあ。
そんなわけで、見出しはアルバムのタイトル曲であり、16分近い大作。“オーケストリオン”と名付けられた演奏方法は20世紀初頭に実在していたそうで、この題名はそのアイディアに敬意を表したもののようです。
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