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今月リリース、『ほんとにあった!呪いのビデオ79』です。珍しくわりあい早く借りられた。旅行の様子を伝えるために回していたカメラが異変を記録した“新幹線”、度重なるイタズラに苦慮した住民が玄関の前に設置した監視カメラで捉えた“シリーズ監視カメラ インターホン”、アイドルのPV撮影中に記録された怪現象と事故、その因縁を探るうちに様々な謎が噴出していく長篇“縁恨”など8編を収録。
どーも演出が切り替わった直後しばらくは低調な時期が来る、というのがパターンになりつつありますこのシリーズ。昨年加わった寺内康太郎は『監死カメラ』のシリーズで技術を磨いていたからか最初からハイレベルでこなしていた感じでしたが、演出補から昇格した川居尚美が携わって4本目にして、また悪い病気が出て来た感が。インタビューのない、投稿映像とナレーションだけのくだりのクオリティと趣向が全般に落ちてます。ほとんどの映像が、「前にもこういうのなかったっけ?」と思うようなものばかり。まあそれはそれで仕方ないのですが、もうちょっと編集の仕方とか、取材による補強を考えた方がいいのではなかろうか。
今回は後半がまるまる長篇に割かれる、というこのシリーズでは珍しい構成になってます。川居尚美が演出に昇格して以来、長篇のネタに人間の感情が濃厚に絡むようになってますが、今回も入り乱れた愛憎が不気味な雰囲気を醸している。ただ、この巻で扱われている部分だけだと、たぶん想像力のないひとは怖さや気持ち悪さを実感しにくいはず。エピローグ部分で、似たような映像が集まっていることに言及し、異様な事態になっていることを仄めかしてますが、それなら次巻にすべて持ち越さず、チラ見させて期待を煽るぐらいのことはして欲しかった。
実のところ、クオリティについては基本的に水準を超えてます。ただ、このシリーズのスタッフなら、もうちょっと見応えのあるものが作れるのでは、という期待があるので、少々厳しめに書いてます。基本的には楽しんだのよ、これでも。
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