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先月リリースのシリーズ最新作『心霊〜パンデミック〜11』。夜景を撮るために展望台に赴いたカップルが遭遇する異変“やけいにみせられて”、廃墟に潜入した彼氏とのビデオ通話が異様な出来事を捉える“つながる”、スタッフが西洋人形にまつわる相談を持ちかけられたことから始まる前後篇“あおいめのにんぎょう”など6篇を収録。
画面にメインで登場するスタッフが実質なにもしてねえ、というツッコミをここでしたことがありますが、巻末にて同様の指摘をメールで受けて反省する、というくだりがあったのは評価する……けど、そういうくだりを挿入した今巻では女性スタッフまで含めて「誰もなにもしてねえ」レベルにまで堕してることに無自覚なあたり、どー反省しても手遅れだ、という気がします。
だって、スタッフが前に出てくる長篇“あおいめのにんぎょう”、テーマとしては興味深いし、素材も決して悪くないのに、スタッフが自発的に動いてないせいで、ドキュメンタリーとしての見応えを大幅に損ねてるんだもの。推移はどうあれ、ああして話を持ちかけられた以上、映像として扱うためには周辺の調査をしなきゃ駄目でしょ。そうしたらこの話、全然展開は違ったはずですよ? もし出遅れたにしても、あとから提供された映像にも手懸かりはあるんだから、いくらでも広げようはあったはず。ああいうオチに持っていくのはいいけど、だとしたらあの途中で送られた映像はどういうことよ。そして最後の映像は誰が回収して送ってくれたっていうのよ。そこも辻褄が合ってないでしょ?
全体に、シチュエーション自体は興味深い。ストーカーについての相談を端緒とする“はしりまくる”にしても、心霊スポットにおける現象を捉える過程が特殊な“しんれいこうさてん”にしても、成り行きはけっこう観ていられる……が、まずいのは締め括り方。投稿映像、というかたちで収録してるんですから、これらの映像を誰がどういう経緯でスタッフの元に届けたか、も充分に話を盛り上げる要素になるはずなのに、その辺がすっぱり切られている。そうすることで関心を惹く、というのもテクニックではありますが、乱発しすぎだし、シリーズ初期でやっていた同様の趣向と比べると、効果を上げるどころか、話の不自然さを際立たせてしまってます。
変に展開は凝っているので、それなりに見られてしまうのですが、どういう角度から見てもどこか間が抜けている……最近、アムモ98でリリースされる怪奇ドキュメンタリーの多くに“佐々木勝己”というスタッフが関わってるようなんですが、率直に言って、このひとの名前が出てきたシリーズはたいてい劣化してますよ。大丈夫ですかほんとに。
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